近年では、スマホやパソコン、タブレットなどの普及により、インターネットを通じた営業活動が当たり前となりました。
その中でも、InstagramやYouTube、TwitterなどのSNSを利用して直接顧客と交流・発信し、購買行動に導く「ソーシャルセリング」が注目を集めています。
しかし、SNSマーケティングやインフルエンサーマーケティングとの違いがよく分からない方もいるでしょう。そこで今回は、ソーシャルセリングのメリット・デメリットや注意点などを解説します。
目次
ソーシャルセリングとは
ソーシャルセリングとは、SNSを利用して直接顧客と交流・発信し、購買行動に導くことです。InstagramやYouTube、TwitterなどのSNSを利用して、顧客とのつながりを作り、商品やサービスなどの購入を促します。販売プロセスの一環として顧客との関係を作ったり発展させたりします。
このように説明すると、eコマースをイメージするかもしれませんが、実際のところは人材マッチング系サービスや案件紹介サービス、WEB制作サービスなど、多岐にわたります。特に最近ではBtoBマーケティングにおいても活用されています。
ソーシャルセリングの基本は、SNSアカウントのプロフィールを丁寧に作り込み、見込み顧客に向けて、コツコツ発信することです。1対1のコミュニケーションに重点を置き、関係性を築いていきます。
海外では活発だが、日本では……
ソーシャルセリングは、海外では多くの事例があります。中でも、ビジネスに特化したSNSである「Linkedin」はアメリカで活発に利用されています。
Linkedinは、会社の同僚や上司、取引先とつながることができるSNSです。顧客と直接的にコミュニケーションを図ることで従来よりもスピーディーに関係性を構築して成果につなげています。
しかし、ソーシャルセリングは日本ではあまり浸透していないとされています。理由としては、ビジネスでSNSを利用する文化が根付いていないことや、情報漏洩および炎上を恐れていることなどが挙げられます。
なお、日本ではFacebookやInstagramを利用していることが多いようです。個人がSNSを利用して見つけてきた情報を、ビジネスマンとしての見解として意見するのは、はばかれることも少なくありません。
また、日本では、会社同士で信頼関係を築き、つながりを保っている側面があるため、個人の力で新たにつながりを広げていこうという意識が弱い傾向にあるのも、ソーシャルセリングがいまいち浸透しない理由として考えられます。
組織としての力を試されることが多い日本では、個人的な動きが評価されにくく、組織から外れた動きは敬遠されることもあります。
また、日本企業は、社員の個人アカウントの発信に対して、企業情報の漏洩や炎上の観点で懸念を抱くこともあります。事前にトラブルを回避する動きが見られ、ビジネスの面でSNS利用を得意とする人はそこまで多くないようです。
SNSマーケティング・インフルエンサーマーケティングとの違い
ソーシャルセリングは、SNSマーケティングやインフルエンサーマーケティングと混合されやすいですが、違った意味合いを持ちます。
SNSマーケティングやインフルエンサーマーケティングは、SNSを利用してユーザーに商品やサービスを広めるものです。見込み顧客だけを対象にするのではなく、不特定多数の幅広い人物を対象にしているという違いがあります。
SNSマーケティングに関しては「【2022】SNSマーケティング戦略はこう立てる!具体的手順と成功事例」、インフルエンサーマーケティングに関しては「インフルエンサーマーケティングの事例12選!ポイントと注意すべき点」を参考にしてください。
ソーシャルセリングのメリット
ソーシャルセリングには、メリット・デメリットの両方があります。双方を天秤にかけ、ソーシャルセリングをおこなうか決めるとよいでしょう。まずは、ソーシャルセリングのメリットについて解説します。
見込み客に対してダイレクトに素早くアプローチできる
スマホやパソコン、タブレットなどがあれば、見込み客に対してダイレクトにアプローチできるメリットがあります。対面での営業なら、日程調整や移動時間などがかかりますが、その手間は必要ありません。曜日や時間帯にかかわらず、素早くアプローチできます。
相手が求める情報を的確に提供できる
また、相手が求める情報を的確に提供できるメリットも大きいです。相手が興味を持った時点で素早くアプローチでき、悩みや解決したいことを把握できるようになります。
それら悩みや解決したいことに対し、きちんと分析すれば相手が欲しい情報を的確に提供できるようになるでしょう。購入までのアドバイザー的役割を果たし、結果的にクロージングまでのリードタイムを縮めることができます。
ターゲットを絞って情報を届けられる
SNSの普及によってより身近なインフルエンサーや親しい人の口コミに対する関心度や信頼度が高まっています。あらかじめターゲティングしておくことで、いざという時の発信の影響力が大きな効果をもたらします。
ソーシャルセリングのデメリット
一方、ソーシャルセリングにはデメリットもあります。
日本ではまだ浸透しきっていないため、やりにくさがある
日本では、SNS上に本名や個人情報を載せたがらない雰囲気が根強く残っています。そのうえ、プライベートなことならまだしも、仕事に関する情報を発信するのに抵抗がある人は少なくありません。
そういった背景で、日本におけるソーシャルセリングの知名度は低く、活動のしにくさがあり、窮屈さを感じることもしばしばあります。
また、ソーシャルセリングにまつわる知見を積んだとしても、きちんと評価されるかどうかは未知数で、期待した成果を得られる保証はありません。
ソーシャルセリングを実施する際の注意点
続いて、ソーシャルセリングを実施する際の注意点を解説します。やり方を間違えてしまうと、成果が得られないだけでなく、イメージダウンにもつながります。
情報内容や量、頻度は適切にする
SNSを利用する場合、発信する意識だけが高まり、自社の商品やサービスの内容だけを一方的に投稿してしまいがちです。商品やサービスのアピールばかりだと辟易され、結果的に成果につながらないこともあります。
発信内容には緩急をつけ、特には話題になっている事柄や流行しているものに触れることも必要です。真面目な話ばかりではなく、興味深くて面白いコンテンツであるとより良いでしょう。
また、信頼を得るためには、長期的に良好な関係を続ける必要があります。例えば、Instagramで見込み客とつながれたからといって、毎日のように営業DMを送り付けていたらフォローを外され、ブロックされるかもしれません。
ついつい一方的な発信になりがちなSNSだからこそ、ソーシャルセリングを実施する際は、営業活動を急ぎすぎないようにしましょう。
見込み客がいるコミュニティや業界に向けてSNSを使い分けて発信する
成果を求めるのなら、あらかじめ見込み客がいるコミュニティや業界を見定め、そこに向けて情報発信するようにしましょう。このターゲティングは時間をかけてゆっくりおこなってもよいです。適宜効果を測定し、フォーカスを調整していきます。
たとえば、プチプラコスメを商品とするなら、美容に興味があるけれども多くのお金をかけられない10〜20代女性をターゲットにしたほうがよいかもしれません。
そして、もしそのターゲットを狙うなら、どのSNSとの相性がよいか判断します。この場合なら、InstagramやTikTokを活用するのが効果的かもしれませんが、別の商品やサービスの場合は他のSNSのほうが適切である可能性も高いです。ターゲットを見定め、それに合ったSNSを使い分けるのは非常に重要です。
まとめ
今回は、ソーシャルセリングについて解説しました。メリット・デメリットや注意点を理解したうえで、実施するかどうか判断していただけたらと思います。
日本では、まだ浸透しきっていないからこそ、今から始めると先駆者になれる可能性もあります。個人の力も必要とされる時代ですので、積極的に検討してみるとよいのではないでしょうか。
SNSマーケティングでの集客に興味がある方や事例などを知りたいという方がいらっしゃれば、当社「GROVE」にぜひお気軽にお問い合わせください。