エモーショナルマーケティングとは?活用ポイントや事例などを解説

マーケティングを行う際、人の感情をかき立てるエモーショナルマーケティングの考え方が必要です。しかし、活用ポイントや事例、注意点などを理解しなければ、良い効果を得られません。今回は、そんなエモーショナルマーケティングについて解説します。

エモーショナルマーケティングとは?

エモーショナルマーケティングとは、人の感情をかき立てることで購買意欲を刺激するマーケティング手法です。
例えば、InstagramやTikTokなどのSNSやブログ投稿の内容を人の感情をかき立てるように工夫したり、商品名やキャッチコピー、パッケージデザインなどが欲求を刺激して興味を引きつけるようにしたりします。

商品やサービスの魅力を伝え、「欲しい」という感情を揺さぶります。その際、商品やサービスの特徴やメリット、他の商品との差別化などを頭の中に浮かべるため、そういったアピールポイントも明確に提示できるのが好ましいです。

エモーショナルマーケティングではウォンツの刺激がキー

エモーショナルマーケティングの重要なポイントは、人の欲求(=ウォンツ)を刺激することであり、必要性(=ニーズ)を刺激するのとは別の視点を持たなければいけません。

ウォンツとは、欲求のことで、その人が属する社会によって異なったものが形成されます。例えば「ごちそうを食べたい」というウォンツであっても、人によって想像するものは異なることもあります。

それに対し、ニーズは、生理的なニーズや社会的なニーズなどに分けることができます。具体的に言うと、生理的なニーズは食べ物や暖かさ、社会的ニーズは帰属や愛情、他にも知識や自己表現に関わる個人的ニーズなどがあります。

水が欲しいというウォンツと、のどの渇きを癒したいという生理的なニーズを分けて考える必要があります。
例えば、化粧品を想定した場合「憧れの女優のような美しい肌になれる」というウォンツを刺激する戦略と、化粧品に含まれている成分や効果をアピールする戦略では、行う施策が異なります。

商品名やキャッチコピーの付け方が異なり、パッケージデザインも違ったものになるでしょう。エモーショナルマーケティングの場合は「憧れ」や「美しい肌になれる」などの感情が商品に興味を持たせる原動力になります。
ただし、商品やサービスの種類によっては、エモーショナルマーケティングの使い方に気を付けなければいけません。

特に注意が必要なのが、医薬品や医療器具、乗り物など、安全性を最優先させなければいけないものです。これらは効果や性能を全面的に押し出す方が好ましいケースが多いです。
医薬品や医療器具、乗り物などには、「安全」「安心」「信頼」などが求められます。性能や効果などの説明が少ないと安心感が得にくいこともあり、納得して購入するに至らないかもしれません。
例えば、解熱剤の場合、「口にするものは安全なものがいい」という必要性と「熱を下げたい」という欲求を分けて考える必要があります。
実際に販売されている解熱剤のパッケージを見ると、「胃にやさしい」「空腹時に飲める」などと書かれていることもあります。

安全性を最優先させたい商品やサービスの場合は、エモーショナルマーケティングだけを行うのではなく、成分や効果、性能などをしっかり説明した上で、エモーショナルマーケティングを併用し、必要性(=ニーズ)と欲求(=ウォンツ)の両方に訴えかけると良いでしょう。

エモーショナルマーケティングの活用ポイント

エモーショナルマーケティングの活用ポイントとしては、キャッチコピーやパッケージデザインなどがあります。

キャッチコピー

特に、分かりやすく差別化しやすいのがキャッチコピーです。キャッチコピーひとつ変えただけで10倍以上の売上アップができた事例もあります。

具体的には、インパクトがある言葉を活用することや短い文言で端的に商品の魅力を伝えることなどが効果的です。
商品情報を単に羅列するだけでは、多くある商品やサービスの中で注目されることがなく、そのまま素通りされてしまいます。

パッケージデザイン

ビジュアルで商品やサービスを表現するパッケージデザインも重要な役割を担います。イラストや色、文字の大きさ・フォント、写真などで関心を持たせ、商品の魅力をイメージしやすくします。

特に、SNSでは映える写真を載せたい人が多く、注目を集めるパッケージデザインが好まれています。

キャラクター

また、エモーショナルマーケティングの効果を活かした、キャラクターを用いてマーケティングを行う手法もあります。

多くの人から愛されるようなキャラクターを作り上げ、キャラクターと商品・サービスの人気を共に上げていきます。キャラクターは、SNSやテレビコマーシャルなどで目立つようにブランディングしていくのも良いでしょう。

購買意欲をそそる心理

人は、「覗いてはだめ」「押してはだめ」という禁止や制限を感じると、その行為に対して欲求が高まる特性を持っています。また、何が飛び出すか分からない・当たらないと中身を知ることができない・見た目では何か分からないという緊張感も購買意欲をそそる欲求となります。

その心理を用いてエモーショナルマーケティングを行うのもひとつの方法です。例えば、「覗いてはだめ」という禁止表示をあえて書いておき、そのボックスの中にプロモーションしたい対象を入れておく方法や、中身に関する情報を提示しないまま設置するガチャガチャなどが、これらに当たります。

また、同一商品だけを陳列させて、興味を引き、人間の本質的な心理を刺激することも有効です。

エモーショナルマーケティングの事例

エモーショナルマーケティングの事例を挙げます。例えば、不動産の購入や賃借の場合、エモーショナルマーケティングが有効に働くことが多いです。

もちろん、最寄り駅はどこか、部屋の広さはどのくらいか、家賃はいくらか、などの条件も重要ですが、それら条件で絞った上で、いくつかを内見した結果、最終的には「なんとなく気に入った」という感情の揺さぶりが理由となって、購入や賃借に至るケースが少なくありません。

具体的には「なんだか建物の雰囲気が好き」「窓から見える風景が子どもの頃住んでいた家と似ていて懐かしい」「閑静な住宅街という印象で気に入った」などがあります。

場合によっては、感情がかき立てられるため、月々の家賃が予算より5,000円オーバーしても契約に至るケースがあり、必須条件とはまた別の力があると言うことができます。

不動産の場合、こういったエモーショナルマーケティングにおいて内見はとても重要なポイントになります。しかし、「内見に行く」という行動を引き起こさせるための要素も必要で、不動産の外観・内観や近所の風景などの写真を上手く撮る技術などが必要です。

エモーショナルマーケティングの向いているビジネス

エモーショナルマーケティングには、ファンを獲得でき、購買意欲を高めるというメリットがありますが、感情をかき立てようとした結果、刺激的なキャッチコピーとなって思わぬ反感を買ったり、万人受けしづらかったりするデメリットもあります。

また、感情は人によって様々で常に揺れ動くもののため、数値化しにくい側面もあります。そのため、エモーショナルマーケティングが十分に機能しないケースもあります。

特に、エモーショナルマーケティングの可否について取り上げられやすいのが、BtoBビジネスです。BtoBビジネスでは、基本的に購買意欲の起点はニーズだと捉え、合理性が重視されるため、エモーショナルマーケティングの考え方と一致しない部分もあるためです。

しかし、BtoBビジネスでの購買意欲においてもエモーショナルマーケティングが有効だとする見方もあります。商品やサービスに抱く「好き」「嫌い」という感情は影響を与え、ビジネス相手となる会社のイメージや信頼度、企業理念への共感なども重要なポイントとなるためです。

総合的に考えると、BtoBビジネスも含めた、様々な商品やサービスでエモーショナルマーケティングは有効となるでしょう。

エモーショナルマーケティングのステップ

まず、エモーショナルマーケティングを行う際は、どのような特徴が人の感情をかき立てるか想定します。

感情は、必ずしもポジティブなものではなく、時にはネガティブな場合もあります。様々な感情の種類を見極め、マーケティング戦略を行います。

例えば、「有名」という特徴を持つ商品やサービスは、信頼や実績を求める人の安心感をかき立てることができるでしょう。
その他にも、「話題性がある」という特徴を持つ商品やサービスは、トレンドを追いかけ、新しいものや流行っているものに興味のある人の心をかき立てることが考えられます。

また、こういった刺激を与えると、InstagramやTikTokなどのSNSに投稿したりいいねしたりすることも想定できます。
こういった特徴は、商品やサービスの性能や性質とは異なることもあります。商品やサービスが良い品質で、購入しようか迷っている人に、エモーショナルマーケティングを活用すれば購入へと導くことができる可能性が高まります。

まとめ

今回はマーケティングの中でも重要な考え方である、エモーショナルマーケティングについて解説しました。とりわけ人々の生活に浸透したSNSを介して感情をかき立てたり、信頼を高めたりするプロモーションは大きな影響力を与えています。

しかし、SNSの運用やプロモーションに関するノウハウがなく、どういった取り組みをしたら良いか悩んでいる方もいるでしょう。
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