ターゲティング広告の種類とそれぞれのメリット・デメリットを徹底解説!

広告を効率良く運用したい場合、商品やサービスと相性の良い人たちに向けて広告を出すことが重要です。
商品やサービスの相性が良い人たちへ向けて広告を運用しないと広告費に対し効率良くコンバージョンが獲得できないといった状態に陥るからです。
昨今SNSが普及したことで、ユーザーの行動履歴や趣味嗜好等の情報が取得しやすくなったことにより、今までは接触が難しかった潜在層へのアプローチがしやすくなりました。
今回は、ターゲティング広告についての概要や種類、特徴をご紹介していきます。

ターゲティング広告を実施する際に意識すべきことは?

ターゲティング広告とは「ユーザーの行動履歴、趣味嗜好、検索行動、プロフィール情報などを基にユーザーに適した広告を表示すること」です。自社商材にとって狙いたいターゲットに向けて広告を表示することができる広告です。
では、どんな場合にターゲティング広告を運用したほうが良いのでしょうか?

それは誰もが購入する可能性がある日用品のような商品・サービスではなく、特定の顧客層にターゲティングする場合です。例えばテレビCMで広告の場合、不特定多数の人に届けることができる一方で、ターゲットがニッチな商材の場合、無駄な人にも届けてしまうため、広告効率が良いとは言えません。
ターゲティング広告であれば過去の行動履歴やプロフィール情報などからターゲットを絞り込んで、狙いたい人たちに広告を配信することが出来ます。

※性別・年齢・地域などの属性面のみでターゲティングするデモグラフィックターゲティングという手法もありますが、こちらは今回の記事ではテレビCMと同じような粒度でターゲティングできるため、ターゲティング広告の定義からは除外しています。このような属性のみでの広告配信のことをブロード配信ともいいます。

ターゲティング広告を運用メリット

ターゲティング広告におけるメリットは大きく3つあります。

・狙ったターゲットに広告を配信できる

ターゲティング広告のメリットななんといってもターゲットを絞り込めるところです。自社の戦略や過去のデータからニーズの高い見込み客に絞って広告を表示することが出来ます。

・ROI(投資対効果)効率の向上

ターゲティング広告は、商品やサービスに関心が高いと思われるユーザーに対して集中的に広告を表示させることができるので、広告投資に対し、効率良くコンバージョン獲得が期待できます。結果ROIの向上が見込めます。

・再訪問を促せる

広告をクリックし、直接購入やお問い合わせなどのコンバージョンした経験はどのくらいありますでしょうか?
今までの経験の中で、直接コンバージョンすることは少なく、他の商品を見たり、口コミを確認したりなど比較検討を踏んだ上でコンバージョンして方が多いのではないでしょうか。これは高単価商材になればなるほど見られる傾向です。
このような一度クリックした見込み客に対して、再度広告を表示させるターゲティング手法をリターゲティングといいます。リターゲティングに関してはこのあと詳細記載しています。

一方で、ターゲティング広告を運用しないほうがいいのは、広く潜在顧客の認知を獲得したい場合です。
ターゲティング広告は表示させたいユーザーに対してピンポイントに広告を表示するものなので、幅広い顧客に認知させたい場合、広くアピールすることができる純広告などが向いています。

ターゲティング広告の種類と説明

ターゲティング広告は以前からあった仕組みですが、SNSによって細かい趣味趣向や興味等の得られる情報が多くなったことでターゲティングできる幅が広がり、ターゲティング広告の種類も多様になっています。
今回は代表的なターゲティング広告を5種類ご紹介します。

①オーディエンスターゲティング

オーディエンスターゲティングとは、「広告枠」に対して出稿するのではなく、オーディエンスのデータに基づき「人」に対して配信する手法です。
オーディエンスのデータとは、商品購入履歴やサービス利用履歴、サイト訪問履歴などのことで、このデータからユーザー属性、行動パターンを分析・抽出した適切な「人」に広告を配信します。これらはクッキー(Cookie)を利用して取得されますが、個人を特定するデータではありません。その為、自社で持っている登録情報などで取得した個人データと照会してより精度の高い広告配信をすることが大切です。

オーディエンスターゲティングのメリットは、よりユーザーに価値のある広告を配信できることです。例えば、オーディエンスターゲティングと似ているとされる行動ターゲティングはCookieの情報を元にユーザーの過去のサイト閲覧履歴から「人」に対して配信できるターゲティングです。
閲覧履歴から「人」にターゲティングできる点は同じですが、オーディエンスターゲティングではこの行動に自社の持っている性別や購入履歴などの情報を加えることによってより詳細なターゲティングをすることが出来ます。

一方でデメリットとしては、ターゲティングで利用するカテゴリや配信手法が多岐にわたるので自社の商品・サービスにあった手法を探すのが大変かもしれません。

②リターゲティング

リターゲティングとは、1度サイトに訪れたユーザーに対してユーザーの行動履歴などを元に広告を配信する手法です。
リターゲティングの特徴としては1度サイトに訪問した人、商品など該当のページにアクセスした人、カートに入れたけど購入しなかった人など、商品・サービスへの関心がある人に向けて広告表示出来るので、サイトへの再訪問や商品購入を促すことが可能です。

一方で、1度は検討したものの既に商品への関心や意欲が無い人からすると同じ広告がずっと表示されるのは煩わしい印象を与える可能性があります。
必要以上に表示されるとブランドイメージを損なう可能性もあるので、表示頻度を調整することも必要です。
また、マッチングの確実性は高いものの、商品やサービスを絞って配信するのでサイトの規模によってはそもそもの配信対象が少なく、表示されにくい場合もあります。
ちなみに、リターゲティングのことをGoogle広告ではリマーケティングという呼び方をします。媒体が異なるだけで性質は同じものです。リターゲティングにおける媒体毎の呼び名の違いは以下のようになります。

媒体 名称
Google リマーケティング
Yahoo! サイトリターゲティング
Facebook リターゲティング

 

③デバイスターゲティング

デバイスターゲティングとは、広告配信先のデバイスをターゲットとして広告を配信する手法です。
デバイスターゲティングのメリットとしてはユーザーが閲覧する際に利用しているデバイスに適した広告を配信できる点です。スマートフォン、パソコン、タブレットといったようにデバイスを指定出来るだけでなく、OSやバージョンなどの細かい指定が可能な場合もあります。デバイスに適した広告を配信できることによって、例えばスマホアプリの広告であればスマホ利用ユーザーに、ウイルス撃退ソフトであればパソコン利用ユーザーに表示することでコンバージョンに繋がりやすくなります。

④ジオターゲティング

ジオターゲティングとは、スマートフォンやパソコンでインターネットに接続した際の位置情報を元に広告を配信する手法です。
デバイスターゲティングのメリットとしてはWi-FiやBluetooth、GPSなどから大まかな位置情報が特定出来るので、地域に適した広告を配信できる点です。位置情報に適した広告を配信できることによって、地域限定のキャンペーンや地域密着型の店舗集客などをする際に効率的に配信することが出来ます。

一方でデメリットとしては、ジオターゲティングは認知の拡大や潜在層へのアプローチが得意な広告なので商品購入やサービスへの申し込みなど直接コンバージョンに結びつく割合は低いと言えます。

⑤コンテンツターゲティング

コンテンツターゲティングとは、サイトのコンテンツ(中身)に連動した広告を配信する手法です。
コンテンツターゲティングのメリットとしては1つのサイトの様々なコンテンツに対して広告を配信できる点です。サイトコンテンツが複数ある場合は「キーワード」で配信面を絞ることが出来るので、コンテンツのカテゴリーが広すぎたり配信したいカテゴリーが無い場合でも設定した「キーワード」に対して配信することが出来るので出したいコンテンツ面を絞って広告を配信することが出来ます。

一方でデメリットとしては、ジオターゲティングは配信面のみを絞るターゲティング手法のため、その配信面に訪問した全てのユーザーが配信対象となります。リターゲティングなどでコンバージョンに繋がりやすいユーザーに対しては優先的に広告が配信されるため、コンテンツターゲットのみではコンバージョンに繋がりにくいユーザーにばかり配信されてしまう可能性もあります。

近年の行動履歴情報のセキュリティ強化について

近年、ユーザーやデバイスに関するデータ取得は厳しくなっており、2021年に発表されたiOS 14ではIDFA(Identifier for Advertisers:ユーザーの端末にランダムに割り当てられるデバイスID)の使用に制限がかかりました。
具体的には、IDFAを使用して広告配信やコンバージョン計測等を行う場合はアプリユーザーにIDFA利用についての合意をとる必要があり、合意が得られなかった場合は当ユーザーのIDFAは使用出来なくなります。
こうした背景からターゲティング広告配信が以前のように安易に行える手法ではなくなりつつあります。

主要広告媒体のターゲティング特徴

適切な顧客に広告を配信する為には、ターゲティング広告の種類だけではなく広告媒体のターゲティング特徴を理解することも重要です。
主要広告媒体のターゲティング特徴についてみていきましょう。

Google+YouTube

GoogleとYouTubeのターゲティングの特徴は、ユーザーが検索したキーワードやLPに基づいた広告表示が可能なので、配信先に訪問したユーザーに自然に商品・サービスを訴求できるところです。
GoogleとYouTubeのターゲティングは主に「オーディエンスターゲティング」と「コンテンツターゲティング」に分かれています。

・オーディエンスターゲティング:

ユーザー属性グループや購買意欲の高いオーディエンスに対してターゲティングが出来ます。Googleのオーディエンスターゲティングの設定方法には「ターゲティング」と「モニタリング」があり、違いは広告配信ターゲットを限定するかどうかです。例えば「海外旅行」をターゲティング設定すると海外旅行に該当するユーザーが検索した時のみ広告が表示されます。「美容」や「料理」など関係ないユーザーが検索しても広告は表示しません。モニタリングは配信対象を限定しないので、「美容」や「料理」に該当するユーザーでも「海外旅行」と検索すれば広告が表示されます。

Google広告で利用可能なオーディエンスターゲティングの種類は以下です。

オーディエンスターゲティング名 説明
ユーザー属性情報 広告を表示したいユーザー層の年齢や性別、子供の有無、世帯収入を指定します。
アフィニティカテゴリー このユーザーはライフスタイル、趣味、習慣など特定のトピックに高い関心を持っているので、広告主様は商品やサービスを最も重要なユーザーにアピールできます。
ライフイベント 大学卒業や引っ越し、結婚など、人生の大きな節目を迎えているユーザーに対して適切な時期に適切なメッセージを届けることができます。
購買意向の強いオーディエンス 広告主が提供する商品やサービスに類似のものを探しているユーザーや商品・サービスに興味関心の高いユーザーに対して広告を配信できます。
カスタムオーディエンス キーワード、URL、アプリ名を入力して、最適なオーディエンスに広告を表示する方法を指定できます。
カスタム インテント オーディエンス 自動作成されるカスタム インテント オーディエンスを利用すると商品やサービスに適したユーザーを定義して広告を配信してくれます。
詳しいユーザー属性 大学生、住宅所有者、最近子供が生まれたユーザーなど、共通の特徴を持つユーザー層に幅広くリーチできます。
動画リマーケティング 動画、TrueView 広告、YouTube チャンネルの操作履歴に基づいてユーザーにリーチします。
ウェブサイトおよびアプリ リマーケティング ウェブサイトまたはモバイルアプリに接触したことがあり、すでに商品やサービスに関心を示しているユーザーに広告を表示します。
カスタマーマッチ オンラインやオフラインのデータを元に検索やショッピングなどを行ったユーザーに再アプローチができます。
類似ユーザー 既存のユーザーと近しい趣味嗜好、行動ををしているユーザーにリーチできます。

 

・コンテンツターゲティング:

広告を表示する場所を指定できます。例えば以下の様な場所に広告を配信できます。

表示場所 説明
プレースメント チャンネル、動画、アプリ内などのプレースメントをターゲットに指定できます。プレースメントには次のような要素を指定できます。
・YouTube チャンネル
・YouTube 動画
・Google ディスプレイ ネットワーク上のウェブサイト
・Google ディスプレイ ネットワーク上のアプリ
トピック 選択したトピックに関連する様々な動画、チャンネル、ウェブサイトに広告を表示できます。
キーワード 動画広告のフォーマットによっては指定したキーワードに興味関心の高いユーザーに広告を配信できます。
デバイス 使用しているデバイスに対して広告を配信できます。

Facebook+Instagram

FacebookとInstagramのターゲティングの特徴は、ユーザーが任意で登録する情報が多く、いいねやシェアの情報などの情報も豊富なのでこれらの集積した質の高い情報から相性の合いそうなユーザーに自動で広告を配信してくれるところです。
FacebookとInstagramには「コアオーディエンス」「カスタムオーディエンス」「類似オーディエンス」の3種類のターゲティング方法があります。

・コアオーディエンス:

年齢・位置情報・興味関心・プロフィールへやいいねしたページやコンテンツなどの条件からターゲット層を指定するターゲティング

・カスタマーオーディエンス:

1度サイトに訪問したことがあったり、元々顧客だったりとビジネスとの接点があるユーザーで尚且つ、Facebook上のデータとマッチしたターゲット層を指定するターゲティング

・類似オーディエンス:

優良顧客と同じ興味・関心を持つユーザーにリーチできるターゲティング(カスタマーオーディエンスと似ている)

Twitter

Twitterのターゲティングの特徴は、豊富なターゲティング方法があるので目的に応じて様々なターゲティングを実施出来るところです。
Twitterのターゲティングは「フォロワーターゲティング」「テイラードオーディエンス」「オーディエンスの特性」「キーワードターゲティング」の大きく4種類に分かれます。
具体的なターゲティング方法は以下です。

・フォロワーターゲティング:

任意で設定しているユーザーをフォローしているまたは似ているユーザーに向けて広告を配信できます。Twitterにしかない独自の配信方法です。広告を配信したい層とマッチしたユーザーを設定するだけで似ているユーザーに配信できるので自社の顧客情報があまりない場合でも活用できます。

・テイラードオーディエンス:

既につながりのあるユーザーやTwitterアカウントに再度アプローチが可能なターゲティングです。顧客のメールアドレスやTwitter IDのリストを使ったり、Webサイトタグによって広告主のWebサイトにアクセスしたユーザーにターゲティング出来たりします。

・オーディエンスの特性:

ユーザーの特徴(年齢・位置情報・言語・性別・使用媒体など)を活かしたターゲティングが出来ます。

・キーワードターゲティング:

投稿キーワードや検索ワードなどTwitter上でのユーザーのキーワードに対するターゲティングです。一般的な検索とは違い、つぶやきならではの感情(面白い・楽しい・悲しいなど)に即したターゲティングを出来るのも面白い点の1つです。

Tiktok

TikTokのターゲティングの特徴は、10~20代の若年層にリーチしやすいことと、ユーザーの基本情報、通信環境など莫大なデータから高いターゲティング精度があることです。
TikTokのターゲティングは「カスタマーオーディエンス」「類似オーディエンス」の2種類に分かれます。

・カスタマーオーディエンス:

自社で持っている独自の顧客ファイルとプラットフォーム上のユーザーをマッチングした情報や、コンテンツの閲覧履歴・クリック履歴、アプリ上の特定の行動等の情報を元にターゲティングが出来ます。

・類似オーディエンス:

配信先や地域など特定の情報の組み合わせから類似のオーディエンスターゲティングが出来ます。

まとめ

今回はターゲティング広告の種類と各広告のメリット・デメリットについてご紹介しました。
自社の商品・サービス、狙いたいターゲットによって利用するターゲティングの組み合わせは様々です。それぞれのターゲティング広告の手法を理解して自社のマーケティングに活用しましょう。