ライブコマースとは?日本・中国での市場規模と企業の成功事例

新型コロナウイルスによってライフスタイルの変化が進む中、ショッピングの方法にも変化が生じ始めています。特に、オンラインで視聴でき、店舗と同じように売り手とやり取りできるライブコマースは、新しいショッピングの形として大きな注目を集めているのです。

本記事では、近年大きな注目を集めているライブコマースについて紹介するとともに、ライブコマースの発祥の国と言われる中国における実情や市場規模についても紹介します。

今注目の「ライブコマース」とは

ライブコマースとは、「ショッピング」と「ライブ配信動画」を掛け合わせたもので、消費者はライブ動画を見ながら欲しい商品を決定し、購入することができます。

ライブコマースでは、ライブを通してまるで店舗にいるかのようにショッピングができ、随時質問をすることで、不安を取り除いた上で商品購入ができます。また、信頼できる、もしくは応援しているインフルエンサーや販売者のアドバイスを元に商品選定ができることに加え、憧れのインフルエンサーとコミュニケーションを取ることもできます。

日本でも徐々に人気が高まってきているライブコマースですが、世界では主要なマーケティングの一つとして、大きな盛り上がりを見せています。中国では、たった1時間で数億円の売上を達成するインフルエンサーが出現するなど、ライブコマースの勢いは日々増しているのが現状です。

ライブコマースの日本国内の現状

日本国内におけるライブコマースの現状と市場規模について紹介します。

2018年に日本人を対象にして行われたライブコマースの現状に関する調査によれば、ライブコマースの認知率は、全体としては30%程度で、最も高かったのが10代の40.0%でした。この数値は年齢が上がるにつれて減少し、40代では約21.5%であることからも、日本人へのライブコマースの浸透度はまだまだと言えます。

また、ライブコマースの客層には、男性と女性で大きな違いが現われています。ライブコマースで商品を購入したことがある女性はわずか7.3%であったにも関わらず、男性では19.3%と約3倍です。ライブコマースでの人気商品は服やアクセサリーなどのアパレル商品であることから女性の方の利用者が多いのかと思いきや、逆の結果となっていることは注目すべき点でしょう。

その理由として、ライブコマースを利用する理由が大きく関係していると考えられます。女性はライブコマースの魅力を「ショップ店員と話すように、買い物ができる」と回答している一方で、男性では「出品者が紹介する商品を買いたい」ことを理由に挙げる人が多くいました。つまり、男性顧客は、自分が応援するインフルエンサーやアイドルなどを、商品購入を通して応援したいと考えているのです。

先ほどお伝えしたように、日本におけるライブコマースは、まだまだ認知度が低いと言えます。しかしながら、ライブコマースと関連性の強いECの市場規模は、2019年に19.4兆円に達し、前年から6.76%上昇するなど好調です(経済産業省調べ)。また、ライブコマースを使用したことのある400人に対して、今後もライブコマースを利用するかを尋ねたところ、85%もの人々が今後も利用したいと回答しています。

新型コロナウイルスによるライフスタイルの変化によって、オンラインショッピングがより注目を集めており、自宅にいながらも店頭ショッピングのようなやり取りができるライブコマースの評価が高まりつつあります。日本におけるライブコマースの今後に注目が集まります。

ライブコマースの中国の現状

日本では、ライブコマースはこれから期待のマーケティングと説明しましたが、世界では主要なマーケティング手法として利用されています。中でも、ライブコマースの発祥と言われる中国では、ライブコマースが急速に拡大しているのです。

例えば、2018年の中国における小売業界は600兆円規模となっており、前年比7.5%と著しい成長を見せています。その中でも盛況なのがオンライン販売です。なんと、全体の35%がオンラインによる販売であったと報告されています(参照)。

好調なオンライン販売の中でも、ものすごい勢いで成長しているのがライブコマース。中国では、中国の主要ECサイトの一つである「タオバオ」は、2018年にライブコマースで1.5兆円もの流通を生み出すことに成功しました。2019年もタオバブによるライブコマースの好調は続き、前年から2倍の約3兆円を売り出すことに成功しました。

タオバブの好調に続けとばかりに、ECサイトや動画プラットフォームがこぞってライブコマースを導入。中国全体でのライブコマースの市場規模は急激に拡大し、2018年に約2.0兆円(前年より600%上昇)、2019年に約6.4兆円(前年より226%上昇)、そして2020年の予想では約14.2兆円(前年より111%上昇)と報告されています(参照)。

中国でライブコマースが人気の理由の一つとして、中国におけるインフルエンサーマーケティングの盛況が挙げられます。中国では、ライブコマースに先んじて、インフルエンサーマーケティングに大きな注目が集まりました。

中国のインフルエンサーは、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれ、コスメや美容、アパレル系の分野で活躍しています。有名なKOLになると、1日で数億円の売上を達成することも可能です。ライブコマースは、このインフルエンサーマーケティングと相性の良い方法であるため、中国で人気なのは自然の成り行きとも言えるでしょう。

例えば、中国のトップKOLの1人であるviya(薇娅)氏は、タオバブライブによる2020年1月~3月までの総売上が570億円というものすごい数値になっています(参照)。有名KOLに続けとばかりに新しいKOLが誕生しているのに加え、家から出ないでも楽しくショッピングできるライブコマースに大きな注目が集まっているのです。

2020年は新型コロナウイルスによる「Stay Home」と相まって、ライブコマースの人気はさらに拡大するだろうと考えられています。2020年の第一四半期だけでも、すでに400万回以上のライブコマースが実施されており、前年比で40%以上の販売量アップを達成しているようです。

また、すでに人気であったアパレル、美容系だけでなく、家電やインテリア家具、トレーニング用品など、対応ジャンルが拡大している点にも注目したいところ。2020年以降も、中国におけるライブコマース人気は続くと考えて良いでしょう。

視聴者を惹きつけるライブコマースの特徴

前述のように、日本ではライブコマース利用者の85%がまた利用したいと回答しています。ライブコマースがこれほどまでに注目を集めるのはなぜでしょうか?ライブコマースが人気の理由を、視聴者の観点から説明します。

視聴者を惹きつけるライブコマースの特徴
  • ・自分の知りたい情報をすぐに質問できる
  • 最新の情報が簡単に手に入る
  • 特定のインフルエンサーを応援できる

自分の知りたい情報をすぐに質問できる

ライブコマースでは、自分の知りたい情報をすぐに確認できるという、通常のECにはない魅力があります。例えば、ECサイトでは、顧客が必要とするであろう情報が豊富に掲載されていますが、場合によっては、顧客が真に知りたい内容にマッチしていない場合があります。また、テキストベースの説明では、信憑性に欠けるという問題もあります。

その一方で、ライブコマースではライブ中に質問をすることができるため、インフルエンサーや販売者が即座に回答してくれます。例えば、家電の機能についてより詳しい情報が欲しい場合や、商品の正確なサイズを知りたい場合、売り手に質問することで、自分が真に欲していた情報を得ることができます。

オンラインショッピングでは、メールで質問をしても返信をもらえず、商品購入を諦めてしまうこともあるでしょう。ライブコマースでは、即座に欲しい情報が得られるため、商品やサービスをしっかりと吟味したい人に人気があります。

最新の情報が簡単に手に入る

ライブコマースの魅力の一つは、売り手側が常に最新の情報をアップデートしている点です。商品を効果的に売るためには、その商品に対する理解はもちろん、同商品ジャンルに対する深く広い知識が必要となります。ライブコマースを活用すれば、売り手から常に最新の情報を得られます。

どの商品を選ぶべきか迷っている場合、複数のサイトなどを見て比較しなくても、配信者に質問するだけで比較・検討結果を即時に回答してもらうことができます。さまざまな商品を見比べた上で商品を購入したいという人にとっては、ライブコマースをうまく活用することで、自宅にいながら自分に合った商品の選定ができます。

特定のインフルエンサーを応援できる

ライブコマースで特に特徴的なのが、特定のインフルエンサーを応援できるという点です。ライブコマースで商品を購入した場合、売上の一部が売り手に渡ります。つまり、自分が応援しているインフルエンサーやアイドルのライブコマースで商品を購入することで、金銭的なサポートができるのです。

顧客にとっては、お店で買っても、ライブコマースで買っても、料金に大きな差はありません。むしろ、ライブコマースでは仲介料が安くなるため、通常よりも安く購入できることもあります。そしてさらに、応援したいインフルエンサーの収入増にもつながるのですから、顧客としては非常に魅力的な購入方法です。

普段はコミュニケーションを取ることが難しいインフルエンサーでも、ライブコマースで商品を購入するという目的であれば、ライブ中にチャットをすることもできます。また、大好きなインフルエンサーから生でお礼の言葉をもらえるのは、大きな喜びでもあります。

特定のインフルエンサーを応援できるという理由でライブコマースを利用するのは、特に男性顧客に多いようですが、これもライブコマースの典型的な特徴の一つとも言えます。特定のインフルエンサーと少しでも連絡を取りたい、親しくなりたいという人たちが、ライブコマースを積極的に利用しているのです。

企業側から見たライブコマースのメリット

顧客にとってのライブコマースの魅力を紹介しました。しかしながら、ライブコマースは、顧客への利点以上に、売り手である企業にとっての利点が大きい販売方法です。販売者にとってのライブコマースの利点について紹介します。

ライブコマースのメリット
  • ・臨場感の高い発信により購買意欲をより刺激できる
  • 宣伝費用が非常に安い
  • 場所にとらわれず、より広範囲に販売ができる
  • 商品を継続的に販売できる

臨場感の高い発信により購買意欲をより刺激できる

まず、ライブによる商品やサービスは、通常のECと比べ高い発信力を発揮できるという利点が挙げられます。もちろん、担当する売り手次第ではありますが、うまく説明をすることで顧客を引き込み、購買意欲を刺激します。

また、勢いのあるライブコマースでは常時購入者が増えていくため、その勢いにつられて購入する顧客も多くいるのが実際です。特に、販売数を制限したり、タイムセールを実施したりすることで、顧客の購買をより促進することができます。

結果として、短い販売時間にもかかわらず、より多くの商品を売ることが可能となります。ライブコマースに関する人件費等はかかりますが、それを踏まえても、ライブコマースによる利益は大きなものになる傾向があります。

宣伝費用が非常に安い

通常商品を売る場合には、オンライン・オフラインにかかわらず、多くの費用を宣伝費用に充てる必要があります。しかしながら、ライブコマースでは、人気インフルエンサーがすでに顧客を囲い込んでいることに加え、主要ライブコマースプラットフォームが宣伝のルートをシステム化しているため、通常よりも安い広告費用で、より大きな効果を得ることができます。

もちろん、人気インフルエンサーに依頼するには料金が必要ですし、ライブコマースのプラットフォームで宣伝してもらうには、広告費を支払う必要があります。しかし、これらの支払いは売上に直結することが多く、無駄な広告費を支払う必要が減少します。広告費を安く、しかし大きな効果を得たいと考える企業にとっても、ライブコマースはおすすめの方法です。

場所にとらわれずより広範囲に販売ができる

店舗型の販売であれば、小売店への仲介料が発生したり、各店舗への配送料が発生したりします。その一方で、オンラインによる販売では、生産者から顧客にダイレクトに販売できるため、店舗維持費や仲介費がかかりません。結果として、企業により多くの利益が生じることになります。

また、オンラインによる販売では、地域に限定されることもありません。北海道から沖縄まで、より広範囲の顧客に対して一挙に販売できることになります。世界に向けて発信することも可能です。対象となる顧客の絶対数が多いため、より多くの商品を販売することにつながります。

商品を継続的に販売できる

ライブコマースで特に人気のアパレルや美容グッズでは、一度ライブコマースで顧客をファン化することにより、商品を継続して販売するルートを作ることができます。ライブコマースは中毒性が高いことから、商品を気に入ってくれた顧客は頻繁に参加してくれるようになります。

通常は広告費に多くのお金を割く必要がありますが、ライブコマースを効果的に活用すれば、少ない広告費で継続的に顧客を獲得することが可能です。

企業によるライブコマースの成功事例

では、企業はどのようにライブコマースを活用し、効果的に売上を伸ばしているのでしょうか?ライブコマースに新たに取り組み、成功を収めた日本企業の事例2つを紹介します。

企業によるライブコマースの成功事例
  • ・株式会社三越伊勢丹ホールディングスのお中元セール
  • 株式会社Mizkan

株式会社三越伊勢丹ホールディングス

新型コロナウイルスによる店舗への顧客数減少に直面していた株式会社三越伊勢丹ホールディングスは、対応策としてオンラインサイトでの集客を強化。「店舗・距離にかかわらずオンラインで楽しめるお買い物スタイル」を提供することにし、一つの方法として、お中元オンラインストアにてライブコマースを取り入れました。

1回目のライブコマースでは、「日本各地の素材・製法・人にこだわり抜いた三越・伊勢丹の限定品」というテーマにて、10種類のギフトを紹介。ゲスト出演していたイラストレータで作家の杏那氏のファンを始め、お中元選びに迷っていた視聴者から大きな反響がありました。

2回目のライブコマースでは、ゲストにアートディレクターで金継ぎ作家のナカムラクニオ氏と、東京国立博物館の竹之内勝典氏を招き、国立博物館、東京国立近代美術館との限定コラボレーションギフトを紹介。1回目とは異なる客層からのコメントや注文も多く、大盛況のうちに終了しました。

2回のライブコマースのみでも3万人を超える視聴者を獲得し、お中元ストア全体の売上が前年の約2倍になったとのこと。これに味をしめた株式会社三越伊勢丹ホールディングスは、今年(2020年)の主要マーケティング戦略として、ライブコマースに力を入れ、定期的に開催しています。

視聴者の意見として、ライブコマースによるギフト紹介は、商品の詳しい説明を受けられることに加え、通常では知ることのできなかった商品背景なども教えてもらえることが利点だったと言います。

また、臨場感あふれるライブにより、家からでもまるで現地でショッピングをしているかのような体験ができることに加え、質問に対してすぐに答えてくれる安心感や信頼性もあるとのこと。ライブコマースの特長を生かした事例 の一つと言えます。

株式会社Mizkan

株式会社Mizkanは、日本の人気商品を中国市場に売り出すことを検討。しかし、日本では知名度のある「ミツカン」ブランドも、中国ではほとんど知られていません。株式会社Mizkanは、マーケティング戦略として、中国で大盛況中のライブコマースを利用することにしました。

売り出す商品は「味ぽん」と「金のごまだれ」です。ポン酢文化がなく、また、安価で似た味のごまだれが多い中国において、今回のプロモーションがうまくいくか、非常に不安だったと言います。

株式会社Mizkanは、2億人にリーチできることが特徴の中国KOLのECショップネットワークを利用し、中国人インフルエンサーとの協力の下で商品を紹介。ライブコマースによる月間の販売数は、予想を大きく超える6,000本という結果になりました。

知名度がほとんどない商品が6,000本も売れてしまうのですから、株式会社Mizkanの担当者も非常に驚いたようです。ライブコマースは、自国への商品セールスだけでなく、海外マーケティングを行う際にも適した方法であることを教えてくれる注目の事例 です。

まとめ

日本で注目を集め始めているライブコマースに関する概要や、世界で最も大きな成果を上げている中国におけるライブコマースの実態等について紹介しました。

今後、人々のライフスタイルが変化するにつれ、家から気軽にショッピングを楽しめるライブコマースは、ますます人気が高まることでしょう。今から準備をしていくことをおすすめします。

当社GROVEでは、デジタルマーケティングをこれから行いたいという方や、SNSマーケティングがうまくいかなくて困っているという方向けにサービスを展開しています。もし、マーケティングのことでお困りでしたら、お気軽にお問い合わせください。