クリエイターエコノミーとは?10のビジネスモデルや事例も紹介

昨今、メディアでも度々取り上げられるようになった「クリエイターエコノミー」。今後、急激な市場拡大が見込まれている経済圏です。
一方で、なんとなく意味はイメージできるものの、クリエイターエコノミーの具体的なビジネスモデルや事例については分からない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、クリエイターエコノミーの概要やカテゴリなど、クリエイターエコノミーへの参入を考えている企業が押さえておきたい基本的なポイントを解説します。

クリエイターエコノミーとは

クリエイターエコノミーとは、個人クリエイターがインターネット上で制作物(コンテンツ)・サービスを提供し、収入を得ることで形成される経済圏のことです。
同エコノミーは、1999年に誕生したブログ作成サービス「Blogger(ブロガー)」が契機となり、大きく発展しました。同サービスの登場により、誰でも手軽にブログを作成できるようになり、個人が情報を発信する場、つまりクリエイターエコノミーの素地が整ったのです。

その後、クリエイターエコノミーは動画配信プラットフォーム「YouTube」や画像共有アプリ「インスタグラム」の登場でさらに発展を遂げ、現在も成長を続けています。

クリエイターエコノミーが注目される背景と市場規模

クリエイターエコノミーが注目されている背景には、「プラットフォームの隆盛」が挙げられます。YouTubeやインスタグラムなどの、コンテンツを収益化できる仕組みを内包したプラットフォームの登場により、個人が消費者としてだけでなく、生産者・販売者としても経済活動に参加できるようになったのです。

また、「子どもの将来なりたい職業でYouTuberが人気」という話もありますが、そのような情報の発信側に回りたいと考えている世代・情報発信に抵抗がない世代が成長して経済力を持つにつれ、クリエイターエコノミーはますます注目を集めることが予想されます。

クリエイターエコノミーの市場規模

一般社団法人クリエイターエコノミー協会および三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の共同調査によると、2021年の国内クリエイターエコノミーの市場規模は「1兆3,574億円」に上ります。これは、世界の市場規模15.1兆円(1ドル=145円として算出)の9%にあたります。さらに同調査によると、市場規模は2034年に10兆円超へ拡大することが見込まれている、とのことでした。今後も規模拡大が期待できる市場と言えるでしょう。

参考:日本初!国内クリエイターエコノミー調査結果を発表

クリエイターエコノミーの10のビジネスモデル

クリエイターエコノミーのビジネスモデルをまとめてみました。

ビジネスモデル 概要
広告収入 コンテンツに広告を表示させることで収益を得るモデル
アフィリエイトマーケティング コンテンツ内で特定の商品・サービスを紹介し、収益を得るモデル
サービスの提供 自分のスキルや知識を活かしてサービスを提供し、収益を上げるモデル(例:イラスト制作、動画編集など)
デジタルプロダクトの販売 自分の知識やスキルをデジタルプロダクトにして販売するモデル(例:電子書籍、ウェビナーなど)
サブスクリプションモデル 定期的にコンテンツ・サービスを提供し、ファンから定期的な収益を得るモデル
スポンサーシップ 企業やブランドからのスポンサーシップを受けることで収益を得るモデル(例:特定の商品やサービスの宣伝、ブランドアンバサダーとしての活動)
ライブストリーミング・寄付 TwitchやYouTube Liveなどライブストリーミングプラットフォームを用いることで、ファンからの寄付やチップを受け取るモデル
イベントと体験 イベントや体験を開催し、参加料を収益として得るモデル(例:ワークショップ、セミナーなど)
マーチャンダイジング 自身のブランドやデザインを使った商品を販売し、収益を上げるモデル
ライセンシングとシンジケーション 自身のコンテンツのライセンスを企業やメディアに販売することで収益を得るモデル。加えて、シンジケーションとして、自身のコンテンツを複数のプラットフォームやメディアで配信して収益を上げることも可能

このようにクリエイターエコノミーにはさまざまな収益をつくるモデルがあり、また複数のモデルを並行して採用しているケースもあります。

クリエイターエコノミーの10のカテゴリ

続いて、クリエイターエコノミーのカテゴリをまとめてみました。

カテゴリ 概要
動画クリエイター YouTubeやVimeoなどのプラットフォームにおいて、動画を作成・共有するクリエイター(例:エンターテインメント、映画、ドキュメンタリーなど)
ライブストリーミング TwitchやYouTube Liveなどのプラットフォームでライブ配信を行うクリエイター(例: ゲーム実況、トークショー、音楽演奏など)
ソーシャルメディアインフルエンサー インスタグラム、TikTok、Twitterなどのプラットフォームでフォロワーを持つクリエイター(例:ファッション、旅行、フィットネスなど)
ブロガー 自身のウェブサイトやブログで記事を書くクリエイター(例:ライフスタイル、自己啓発、ビジネスなど)
ポッドキャスター オーディオコンテンツを制作・配信するクリエイター(例:インタビュー、ニュース解説など)
音楽家・アーティスト 音楽作品を制作・配信するクリエイター(例:作曲家、歌手など)
写真家・イラストレーター 写真やイラスト作品を制作・配信するクリエイター(例:ポートレート、アートなど)
ゲーム開発者 ゲームやアプリを開発・販売するクリエイター(例:モバイルアプリ、バーチャルリアリティなど)
オンラインコーチ・トレーナー オンライン上でコーチングやトレーニングサービスを提供するクリエイター(例:スキルアップ、フィットネスなど)
教育・オンラインコース制作者 オンライン上で教育コンテンツやコースを提供するクリエイター(例:ビジネススキル、言語学習など)

このようにクリエイターエコノミーと一言で言っても、さまざまなカテゴリがあることが分かります。

クリエイターエコノミーを活用している5つのマーケティング事例

最後にクリエイターエコノミーを用いているマーケティング事例を5つ紹介します。

ダニエル・ウェリントンのインスタグラム戦略

腕時計ブランド「ダニエル・ウェリントン(Daniel Wellington)」は、インスタグラムのインフルエンサーマーケティングを活用したことで、ブランドの認知度および売上を高めました。同社はフォロワーとの関係が深い、フォロワー数の少ない小規模インフルエンサーを活用し、ブランドの認知向上を成功させました。そのほか、キャンペーンコードの配布や「#danielwellington」というハッシュタグに絞った展開などのマーケティングも行いました。

ゲーム開発会社Epic Gamesのクリエイター活用

ゲーム開発会社「エピックゲームズ(Epic Games)」は、人気ゲーム「フォートナイト(Fortnite)」のプロモーションに、ライブストリーミングプラットフォーム「Twitch」のクリエイターを活用しました。具体的には、ゲーム実況者たちに「Fortnite」をプレイする様子を配信してもらい、視聴者にゲームへの興味を高めさせたのです。さらに、大手ストリーマーのNinja氏とラッパーのDrake氏が共演したライブ配信が大きな話題となり、同ゲームの認知度が急上昇したこともあります。

ニコンの#ニコンのある生活キャンペーン

カメラメーカー「ニコン」は、インスタグラムにてハッシュタグ「#ニコンのある生活」を使ったキャンペーンを実施しました。同キャンペーンは、インフルエンサーや一般ユーザーにニコン製品を使った写真を投稿してもらい、投稿者の中から毎月賞品が当たる抽選を行う、というもの。同キャンペーンの実施により、ニコン製品の魅力を多くの人々に伝えることに成功しました。

コカ・コーラのShare a Cokeキャンペーン

大手飲料メーカー「コカ・コーラ」は、個人名・愛称が入った限定デザインの缶やペットボトルを発売する「Share a Cokeキャンペーン」を展開しました。同キャンペーンでは、クリエイターやインフルエンサーがSNS上に自身の名前入りのコカ・コーラ製品を投稿することで、認知が拡大し、話題となりました。

Glossierのビューティーインフルエンサーマーケティング

コスメブランド「グロッシアー(Glossier)」は、有名芸能人やモデルではなく、ビューティーインフルエンサーやブロガーを起用し、製品レビューやチュートリアル動画をSNSに投稿してもらうマーケティングを実施しました。
例えば、13人のビューティーインフルエンサーを2日間のNY旅行へ招待し、旅行の様子をSNSで投稿してもらいました。その結果、フォロワーの大半がグロッシアーの公式アカウントをフォロワーしてもらうことに成功します。このように、同マーケティングの実施により、ターゲット層に対して自社製品の魅力をアピールし、認知度や売上を高めることができました。

まとめ

今回はクリエイターエコノミーについて、ビジネスモデルや事例などさまざまな視点から解説してきました。クリエイターエコノミーの市場規模は、2034年には現在の約8倍にあたる10兆円超へ拡大することが見込まれています。企業としては、市場拡大の恩恵を得るために、早期参入もポイントの一つになるでしょう。

当社GROVEでは、クリエイターエコノミーを加速させる「ブランディング」や「集客」といったお客様の目的に合わせた「インフルエンサーマーケティング」を行っています。インフルエンサーマーケティングをこれから行いたい方や、上手くいかなくて困っている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。