「Z世代」という言葉は近年テレビや雑誌などでよく聞かれるようになりました。Z世代はY世代に続く世代として、また、新しいマーケティングのターゲットとして語られる場合もあるようです。今回は、Z世代の特徴からZ世代に向けたマーケティングポイントについてみていきます。
目次
Z世代について
一般にZ世代とは、1996年~2015年頃までに生まれてきた若年層を指す言葉です。
「Z世代」の概念はアメリカ合衆国で生まれました。元々、カナダの作家であるダグラス・クープランドの著書「ジェネレーションX」に由来し、アメリカ合衆国で1965~1980年頃に生まれた世代を「X世代」と呼んだことが始まりです。その後の世代は、新千年紀(ミレニアム)を語源の由来とし、1983年頃~1995年頃までに生まれた世代を「ミレニアル世代」、1980年代~2000年代初頭頃に生まれた世代を「Y世代」、と呼んでいました。
アルファベット順でYの次がZであることから、Y世代に続く世代という意味でZ世代と呼ばれています。
※世代に関する年代の区切り方には諸説あります。
生まれた世代 | 特徴 | |
---|---|---|
X世代 | 1965~1980年頃 | ・デジタルイミグラント ・冷静で手堅い |
Y世代 | 1980年代~2000年代初頭頃 | ・デジタルネイティブ ・ダイバーシティを重視 ・現実主義 |
Z世代 | 1996年~2015年頃 | ・Y世代の特徴とほぼ同じ ・ソーシャルネイティブ |
Z世代は、米国では人口の1/4程を占めるほどで、消費に大きな影響力を持っています。日本は少子化社会ではありますが、これからの消費を担っていく世代としてマーケターから注目されています。
Z世代の特徴
Z世代の主な特徴として、以下4つの特徴があります。
- ・ソーシャルネイティブ
- ・コンテンツのマルチタスク
- ・多様性(ダイバーシティ)を重視する
- ・”モノ”より”コト”の消費を重視する
それでは、それぞれの特徴について詳しくみていきましょう。
ソーシャルネイティブ
Z世代の前の世代であるY世代が生まれる前くらいからパソコンやガラケーが普及していたため、10歳からガラケーが身近にあり、日常的にデジタル機器に触れていたデジタルネイティブな世代です。
日本でもスマートフォン人気の火付け役になったiPhoneが発売されたのは2008年です。
Z世代はデジタルネイティブであるだけでなく、遅くとも13歳の頃にはスマートフォンが身近にあり、ソーシャルメディアを使いこなす「ソーシャルネイティブ」でもあります。
ソーシャルネイティブなZ世代は、テレビタレントよりもインフルエンサーの影響を受ける傾向があります。
以前はテレビタレントや雑誌広告などから影響を受けていましたが、これらはあくまで自分とは関わりのない遠い存在からの影響という感覚であり、一方でソーシャルメディアは比較的リアルに近い距離感でのコミュニケーションが可能なため、そこで活躍しているインフルエンサーは身近な存在だと感じ、情報の信頼性も高いと思われているためです。
また、Z世代は日々利用するソーシャルメディアや動画配信サイトで多くの広告を目にしています。そのため寛容であるものの、広告に慣れているため、消費の判断材料としては見慣れた広告には反応しづらく、口コミといった生の声を重視する傾向があります。
コンテンツのマルチタスク
近年の情報量は膨大なとなり、多くの情報を常にキャッチしています。
日本のY世代の1日のスマートフォン使用時間は約4時間、Z世代は平均約5.5時間以上(*1)と、Y世代よりも1時間以上スマートフォン使用に時間を費やしており、ソーシャルメディアの使用時間も他の世代より長いです。
これは様々な面に影響を及ぼしており、膨大な情報に日々接しているため、限られた時間の中で自分に合った情報をより効率的にキャッチするため、コンテンツあたりに費やす可処分時間が短い傾向にあります。
多様性(ダイバーシティ)を重視する
ソーシャルメディアの発展で、今まで関わることのなかった人やコミュニティと繋がることや、知りたい情報が簡単に得られるようになりました。
このことから、ソーシャルネイティブであるZ世代は、ソーシャルメディアで日々多くの情報や人、コミュニティと接しているため、多様性を重視する傾向があります。
それぞれの情報や人、コミュニティの個性を尊重し、認めることができるのがZ世代の特徴の1つです。
”モノ”より”コト”の消費を重視する
Z世代の価値基準はブランドよりも本質に重点が置かれる傾向があります。Z世代は2007~2010年に起こった世界金融危機や増税、環境問題などの不安定な状況をみて育った世代も含まれるため、現実的・堅実的な面を持っています。
そのため、消費する”モノ”の表面的な部分ではなく、内容を選択基準としている傾向があります。
Z世代に向けたマーケティングのポイント
Z世代は、次世代の消費を担う存在として、世界中のマーケターから注目されています。それでは、実際にZ世代にマーケティングを行う上でどのような点を重視すればよいのでしょうか。
ここでは、Z世代に向けたマーケティングのポイントについてみていきます。
流行を捉えることはマスト
Z世代は日々膨大な情報にさらされているため、飽きっぽい傾向があります。そのため、最新のコンセプトに関してはポジティブです。
例えば、友達と主に音声で繋がりながらゲームや動画配信の視聴を一緒に楽しめる、スマホ専用のボイスチャットアプリ「パラレル」はこれまでのSNSの代表であるTwitterやInstagram等と異なり、音声でのやりとりが主のSNSで、Z世代が毎日3時間利用するほど注目されています。
コロナ禍で友達と気軽に遊べない状況も後押しになり「パラレル」は気軽に集まれるオンラインのたまり場として、支持を集めています。
このように、Z世代は他の世代と比べて新しいコンセプトの消費に積極的なため、オリジナリティの高いコンテンツ制作やユニークなキャンペーン実施を行うことがZ世代へのマーケティングの必要要素の1つとなります。
インフルエンサーの活用
Z世代は情報の評価において、他の世代よりもより生の声を重視します。そのため、インフルエンサーを起用したマーケティングは効果が期待できます。
しかし、ただ単にインフルエンサーを起用するのではなく、Z世代のインフルエンサーを起用した方がより消費者に近い存在として、消費者の心を掴む事が出来るでしょう。
Z世代の女性に行った調査(*2)によると、将来なりたい職業1位はインフルエンサー(21.1%)との結果になっており、今やZ世代にとってインフルエンサーは芸能人よりも影響力のある存在になっています。
オリジナリティのあるコンテンツを重視
先の特徴でも述べたようにZ世代は膨大な情報に日々接しているため、コンテンツあたりに費やす可処分時間が短い傾向にあります。
動画の場合、冒頭8秒でユーザーの心を掴めなければスクロールして次のコンテンツに移ってしまうため、冒頭で消費者の心を掴めるようなインパクトのあるコンテンツを設定する必要があるでしょう。
また、Z世代は広告に寛容であるものの、興味のない広告への判断も早いので、関心のない広告はさっさと飛ばしたいという思いがあります。そのため、すぐに飛ばすことができない広告は好みません。広告自体もコンテンツ化し、いかに興味をもたせるかが重要となってきます。
Z世代でバズったマーケティング事例
Z世代にバズったマーケティング事例を2つご紹介します。
TikTok 日本コカ・コーラ株式会社「#リボンでありがとうチャレンジ」
日本コカ・コーラ株式会社が2018年12月1日〜12月5日の間に行った「#リボンでありがとうチャレンジ」は、TikTokのハッシュタグを活用した事例です。
TikTokアプリで好きな楽曲を選び、ハッシュタグを付けて、投稿者がオリジナルの動画を投稿するだけでキャンペーンに参加することが出来ます。
また、日本コカ・コーラ株式会社が投稿を審査し、選ばれた100名にはQUOカードがプレゼントされるだけでなく、受賞者1名の投稿動画は渋谷の屋外ビジョンで放映されるというインパクトのある特典で話題となりました。
ハッシュタグチャレンジでユーザーに参加を呼び掛けることで、ユーザーがハッシュタグチャレンジを付けた投稿を行ってくれるので、コンテンツの拡散力が期待できます。
株式会社AbemaTV 「今日好きダンス」
「今日好きダンス」は、キャンペーンではないものの、複数のソーシャルメディアを活用したZ世代へ向けたマーケティング事例です。
そもそも、「今日好きダンス」とは、女子中高生から絶大な人気を博した株式会社AbemaTVが運営しているAbemaTVの人気恋愛バラエティ番組「今日、好きになりました。」の主題歌にのって番組の出演者たちが考案したものです。
「今日好きダンス」がバズった発端は、Twitter等でのハッシュタグ今日好きダンスがバズったことから始まります。
今日好きダンスがバズった当時、TikTokではユーザーを外部のWebサイトやサービスへ遷移させることが難しいことがありました。そのため、TikTokを活用した視聴者増加を目的としたプロモーションの足掛かりとしてTwitter等の外部サービスからの発信を行いました。
Twitter等でのPRの結果、「今日好きダンス」への興味・関心が高まり、TikTokでのハッシュタグ今日好きダンスへ繋がっています。
さらに、SNSでの盛り上がりから番組への視聴に繋げるというプロモーションになっています。
Z世代に向けたプロモーションにおいて、デジタルであることは重要な要素となります。
Z世代を理解するための本
Z世代を理解する上で、実際にZ世代と接することや、SNSを覗く事など様々な方法がありますが、Z世代について解説した本を読むことも方法の1つです。
Z世代を理解する上でおすすめの本を3つご紹介していきます。
「Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?」/ 原田 曜平 (著) (光文社新書)
若者研究の第一人者と呼ばれる原田 曜平氏による著書です。いわゆる、「Z世代vsその他の世代」という対立構造的な見方ではなく、Z世代の持つ価値観や、どのようなことに興味・関心を持つのかを真摯に分析している内容となっているため、フラットな視点でZ世代を理解したい方におすすめです。
「若者たちのニューノーマル Z世代、コロナ禍を生きる」/牛窪 恵 (著) (日経プレミアシリーズ)
世代マーケティングの第一人者が、「Z世代」の素顔を読み解きます。Z世代の消費行動や価値観を物語形式で綴っています。父と子の入れ替わりという設定のため、家族にZ世代がいるなど、よりリアルにZ世代を理解したい方におすすめしたい1冊です。
「ミレニアル・Z世代の「新」消費観 最高の海外事例に学ぶマーケティング企画の秘訣」/岡 徳之、橋本 沙織、細谷 元、山本 直子 (著)(翔泳社)
本書は、ミレニアル世代・Z世代に指示されているプロダクトやサービスを紹介しながら、各世代の消費特徴について海外事例を元に解説しています。若年層マーケティングに関心があるマーケターの方におすすめです。
まとめ
Z世代のマーケティングについて、いかがでしたでしょうか?
特にSNSを活用したマーケティングは効果が高いことが事例からも分かりました。Z世代は、日々デジタルと接しているためこれまでの世代とマーケティングの手法も大きく変わってくることがあります。
GROVEではZ世代に強いインフルエンサーも所属しており、企画から分析、制作まで一貫して行っています。Z世代へのマーケティングや集客についてはお気軽にお問い合わせください。
*1 出典:マッキンゼーによるアジア太平洋のZ世代向けサーベイ (n = 16,000; 2019年11月)
*2 出典:Z世代インサイト研究機関memedays(ミームデイズ)「Z世代の将来に関する意識調査」