ソーシャルグラフ

「ソーシャルグラフ」ということばをご存知ですか?

きっと、ソーシャルグラフそのものを目にすると「ああ、こういうものね」と思うはずですが、どのように見れば良いのか、どう分析して施策に落とし込めばいいのかまで理解している人は少ないのではないでしょうか?

この記事では、

  • ・ソーシャルグラフとは
  • ・ソーシャルグラフの活用方法(見方、施策への落とし込み方)
  • ・ソーシャルグラフを作れる無料ツール

を紹介しています。

ただし、先に結論を申し上げると、ソーシャルグラフの作成・分析は非常に難易度が高く、気軽に取り入れられるものではありません。そのため、どうしてもソーシャルグラフをマーケティングに活用したい方のために、ソーシャルグラフ分析の代用案もご紹介しています。

ぜひ最後までご覧ください。

ソーシャルグラフとは

ソーシャルグラフとは

“互いに影響を与えあう複数の人間の結びつきや、かかわり合いを示した概念。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をはじめとするソーシャルメディアにおけるウェブ上での人間の相関関係を、点と線分で可視化したものやその集積データを意味することが多い。”

引用:『小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)』より

ウェブ上における人間の相関関係がひと目で分かる「ソーシャルグラフ」。ソーシャルグラフは「ノード(点)」と「エッジ(線分)」で構成され、以下の図の例で言うと、1~6の数字部分がノードで、それぞれを繋ぐ線分がエッジとなります。

ソーシャルグラフのデータ構造

引用:『グラフ (データ構造) – Wikipedia

ソーシャルグラフにおけるノードは、多くの場合「人間」を指します。その他、モノや事といった「情報」がノードとして表される場合もあります。

エッジは、それらをつなぐ関係性を指します。親子や友人、恋人、職場の同僚や趣味関連の友人など、その関係性は実にさまざまです。

もともとは社会学の分野で「ネットワーク分析」の一手法として活用されてきたソーシャルグラフ。2007年にはアメリカのプログラマー、ブラッド・フィッツパトリック氏によって「ウェブ上の概念」として提唱され、その後、TwitterやFacebookなどのSNSが普及したことにより、日本国内でもマーケティングの重要キーワードとして認知されるようになりました。

ソーシャルグラフの活用方法

そんなソーシャルグラフをマーケティングに活かしていくには、どのようにすれば良いのでしょうか。この段落では、ソーシャルグラフの見方を解説したうえで、マーケティング施策への具体的な落とし込み方を例示しています。

早速、まずはソーシャルグラフの見方から学んでいきましょう。

ソーシャルグラフの見方

ソーシャルグラフを見る際、特に重要となるキーワードが以下の3つです。

  • ・隣接関係
  • ・ノード間距離
  • ・ハブ

「ソーシャルグラフとは」で例示した下記の図をもとに、各キーワードの意味や役割、考え方について解説します。

隣接関係

隣接関係とは、エッジで直接結ばれたノード同士のことを指します。上の図において、隣接関係は「1と2」「3と4」などを指します。

それぞれを結ぶ関係性によって濃度や距離感は異なりますが、隣接関係にあるノード同士は、他よりも強い関係性を有していると考えられます。

ノード間距離

ノード間距離とは、その言葉通り、ふたつのノードの間にある最短距離を指します。

上の図において、1と2のノード間距離は「1」。1と4のノード間距離は「2」となり、もっともノード間距離が離れているのは1と6・2と6の「3」となります。

基本的に、ノード間距離が離れれば離れるほど関係性は希薄になります。

ハブ

ハブとは、ソーシャルグラフ上に複数存在する「ネットワーク」間を繋ぐ存在を指します。上の図においては、4のノードがハブの役目を果たしています。

強い影響力を持ち、複数のネットワークを媒介するハブは、それぞれのネットワークに情報を伝達してくれる重要な存在であると言えます。

ソーシャルグラフの施策への落とし込み方

人と人との関係性が可視化されたソーシャルグラフ。そんなソーシャルグラフを分析すれば、関係性の有無や濃淡、距離感などが自ずと見えてきます。

また、表在化していない繋がりや、無関係と思われたネットワーク同士の意外な関係性に気付けたりもします。ソーシャルグラフをマーケティング施策に落とし込む際は、この「気付き」を活かすことが重要です。

もう少し具体的に見ていきましょう。

ユーザーの活動や人間関係を元に、興味を持ちやすいコンテンツをレコメンドする

レコメンドとは「おすすめする、推薦する」といった意味を持つ英単語で、ECサイトでよく見かける「この商品を買った人は、こちらの商品にも興味を持っています」といった表示がレコメンドの代表格です。

その裏側では、商品と商品の関係性をソーシャルグラフ化し、購入した商品と密接な関係性を持つ商品をレコメンドするという処理が行われています。

ソーシャルグラフを活用したレコメンデーションの可能性は、ECサイト上だけに留まりません。

たとえば、

  • ・ユーザーAに響いたコンテンツを、Aと隣接関係にあるユーザーBにもレコメンドする
  • ・同一ネットワーク内ノードの興味関心傾向をまとめ、コンテンツをレコメンドする
  • ・ユーザーが他SNS上で築いたソーシャルグラフを元に、関係性の濃いコンテンツをレコメンドする

といったように、ソーシャルグラフを用いることによって、よりユーザーにとって有益かつ興味を持ちやすいコンテンツを届けられるようになります。

「非明示的なリンク」による繋がりをもとに新規ターゲットを開拓する

ソーシャルグラフを分析すれば、「明示的なリンク(表在化している関係性)」だけでなく、「非明示的なリンク(表在化していない関係性)」も見えてきます。

たとえば、

  • ・関係性の薄いネットワーク同士だと思っていたが、実は複数のハブが双方のネットワークを媒介しており、類似性が高いことが分かった
  • ・ノード間距離は離れているが、中継しているエッジの性質が似通っているため、類似した興味関心を持つ可能性が高いことが分かった
  • ・ネットワークの規模自体は小さいものの、ほとんどのノードが隣接関係にあり、関係性が極めて濃密なネットワークであることが分かった

のように、本来であれば気付けなかった「繋がり」をもとに、新規ターゲットを開拓していくことができるのです。

こうした「非明示的なリンク」に気付くことができれば、あるネットワーク上で反響のよかったマーケティング施策を別のネットワーク上にも展開したり、関係性が濃いネットワークを狙って効率的にマーケティング施策を展開することが可能になります。

ソーシャルグラフを作れる無料ツール3選

続いて、ソーシャルグラフを作れる無料ツールをご紹介します。いずれもアメリカ発のツールで日本語サポートには対応していませんが、中には日本人ユーザーによる使い方レポートが投稿されているツールもあります。

ご紹介しているツールはすべて無料(※)で利用できるものですので、英語が苦でない方は、ぜひ一度お試しください。

※製品版は除く

Social Network Visualizer

SOCIAL NETWORK VISUALIZER

Social Network Visualizer

Social Network Visualizerは、2017年にリリースされたオープンソフトウェアです。ソーシャルグラフを用いたソーシャルネットワーク分析のために開発され、2021年1月には最新版の「SOCNETVV2.8」がリリースされました。

  • ・マウスやキーボードを用いた簡単かつ感覚的な操作
  • ・WEBクローラーを用いて任意のサイトのネットワークを視覚化
  • ・さまざまなネットワークファイル形式のインポートに対応

などの機能を備えており、シンプルな操作で視覚的なソーシャルグラフを作成することが可能です。

AllegroGraph

AllegroGraph

2004年に最初のバージョンがリリースされたAllegroGraph。複雑な分散データを「エンティティ-イベントデータモデル」として視覚的にまとめ、企業の高度な意思決定と分析をサポートしてくれます。

ソーシャルネットワークを分析するための「ライブラリ」という機能を搭載されています。

開発国のアメリカにおいては、商業利用はもちろん、米国国防省プロジェクトでも利用されているクローズドソースです。製品版と無料版の2種類が公開されていますので、気になる方は、まずは無料版でお試ししてみてはいかがでしょうか。

NodeXL

NodeXL

NodeXL

NodeXLは、Excel上でソーシャルグラフを描画できるオープンソーステンプレートです。こちらにも製品版と無料版があり、無料版にも「ネットワークの視覚化」および「ソーシャルネットワーク分析機能」が搭載されています。

NodeXLを起動すると、「NodeXLタブ」が追加されたExcelが立ち上がります。

シートにはソーシャルグラフの作成に必要な項目が予め設定されているので、あとはノードやエッジの情報を入力していくのみ。ノードに画像を設定することもできるので、より視覚的なソーシャルグラフを作成することが可能です。

難易度の高いソーシャルグラフ分析に代わり「SNSプロモーション会社」を活用しよう

これまで、ソーシャルグラフの見方や施策への落とし込み方、実際に作りたい方向けのツールなどをご紹介してきましたが、冒頭でもお伝えしたとおり、ソーシャルグラフの作成・分析は極めて難易度が高いというのが実情です。

完成したソーシャルグラフは視覚的で分かりやすいものですが、それを作成するためには、ノードやエッジの情報などをデータソースとしてまとめなければならないためです。データソースの作成には専門的な知識や技術が求められますので、なかなか「思い立ったら気軽に」というわけにはいきません。

そこでぜひおすすめしたいのが、「SNSプロモーション会社の活用」です。SNSプロモーション会社とソーシャルグラフに何の関係があるんだ、と思われるかもしれませんが、両者とも新たな「気付き」をくれるという点で似通っているのです。

ソーシャルグラフの活用部分でもお伝えしたとおり、ソーシャルグラフ分析において得られる重要な要素は、明示的・非明示的な関係性への「気付き」です。本来であれば、難解なソーシャルグラフ分析をクリアしなければ見えない「気付き」ですが、実績や知見が豊富なSNSプロモーション会社には、すでにこの「気付き」が蓄積されているのです。

当社GROVEでは、さまざまな業種のクライアント様とともに、数々のSNSプロモーションを成功させてきました。その貴重な経験のなかで、SNS上における明示的・非明示的な関係性への「気付き」を数多く発見し、SNSプロモーションに活用してまいりました。

当社では、そうした「気付き」を元にした最適なSNSプロモーションプランをご提案させていただいております。

「ソーシャルグラフを分析して、SNSプロモーションの反響を拡大させたい!」「SNSプロモーションの展開幅に限界を感じてきたので、ソーシャルグラフ分析によって新たな『気付き』を得たい!」そうお考えの方は、ぜひ一度当社にお問い合わせください。

当社がソーシャルグラフの代わりとなり、「気付き」を活用したSNSプロモーションのお手伝いをさせていただきます。

まとめ

人と人との関係性がビジュアル的に可視化された「ソーシャルグラフ」。その関係性を深く分析することによって見えてくる「気付き」は、これまでのプロモーションでは辿り着けなかった新たな可能性を秘めていますが、分析難易度が高いため、ソーシャルグラフを活用できている企業はごく一部に限られます。

将来を見据え、ソーシャルグラフを作成・分析できる人材育成に力を入れるのも良いですが、まずは実績豊富なSNSプロモーション会社にご相談してみてはいかがでしょうか。

人材育成には膨大な時間とコストがかかりますが、すでにその「気付き」を有したSNSプロモーション会社とタッグを組めば、驚くほど手軽に「気付き」を活用したSNSプロモーションが可能になるかもしれませんよ。