TikTokをビジネスやマーケティングに活用する企業が増えてきました。しかし、これまでになかった新しいアプリであるため、どのように分析すれば良いかを迷っている方や、分析してもどのようにマーケティングに活かせば良いか悩んでいる方もいるでしょう。
そこで今回は、TikTokの分析方法と結果をマーケティングに活かす方法を解説します。今後、ビジネスシーンにおいても利用度が増すと見られるTikTokの分析方法を理解し、マーケティングに活用しましょう。
目次
TikTokで分析をする際の4つの軸
まずは、TikTokで分析するときに軸となる4つのポイント解説します。マーケティングに必須の項目なので、理解を深めてください。
- ・フォロワー数
- ・動画視聴者の所在地
- ・合計視聴回数
- ・平均視聴回数
なお、これらの分析は、プロアカウントやexolytといったツールを用いれば容易に可能です。分析ツールの詳細は、後で紹介していきます。
フォロワー数
フォロワー数は、どのくらいの人にフォローされているのかを表した指標です。この指標を確認した方が理由は、レコメンドに表示される可能性が高いからです。
TikTokではレコメンドに表示されることで、多くの視聴者に動画を視聴される傾向にあります。この際に、フォローしている投稿者のアカウントから投稿された動画はフォロー欄だけではなく、レコメンドにも表示されることが多いです。
そのため、知名度の向上など多くの人に対して自分の投稿した動画を見てもらうことが目的の場合は、レコメンドへの表示頻度を表したこの指標を使用すると良いでしょう。また、YouTubeや他の媒体への誘導を促す際にもフォロワーは誘導に乗ってくれることが多い(TikTokのフォロワー×3%程度が目安)ため、TikTok以外に誘導して宣伝したい商品や知名度を上げたい商品・サービスがある場合もフォロワーを指標とすることが有効です。
動画視聴者の所在地
動画視聴者の所在地分析は、TikTokに投稿した動画をどこの地域の人に多く見られているのかを表示した指標です。この指標を確認した方が良い理由は、実店舗へ誘導する際に、店舗から極端に離れている場所の場合は、実店舗への来店を見込むことができないからです。
TikTokは集客ツールとしても使うことができ、実店舗を持つ会社や施設がTikTokを集客ツールとして使っています。その際に、実際に訪れて欲しい店舗や施設から遠く離れた地域の人に対して多く動画を配信しても(インプレッションが大きくなっても)、その実店舗・施設への来店をコンバージョンとしている場合は、効果をあげることが難しいです。
合計視聴回数
合計視聴回数は、動画ごとの視聴回数を表した指標です。この指標を確認する理由は、視聴回数を見ることでどの動画が人気で、どのような動画がチャンネルのファンにヒットするかの傾向を確認可能なことと、コンバージョン率の確認ができるからです。
TikTokでコンバージョンを測る際は、基本的には視聴回数を基準に考えることが多いです。
例えば、TikTokに投稿した動画が平均10万回再生されているのに、フォロワーが1,000人しかいないと、フォロワーのコンバージョン率は1%(=1,000/100,000)となります。1%は、TikTokのフォロワー数におけるコンバージョン率としては低いため、フォローしてもらうように動画を2つに分けるなどの対策を考えるきっかけとなります。
このような事実を確認するためにも、合計視聴回数の指標を用いることが重要なのです。
平均視聴時間
平均視聴時間は、一つの動画をどれくらいの時間見てもらえたかを確認できる指標です。TikTokで平均視聴時間の指標を確認する理由は、平均視聴時間が長い動画がTikTokの視聴者のレコメンドに表示される可能性が高いことと、視聴者への印象の強弱を示しているからです。
TikTokの場合、レコメンドに表示されることで多くの人に動画を見てもらうことが可能で、レコメンドの表示される際の基準の一つに平均使用時間が長さがあると考えられています。平均視聴時間が長い動画の方が多くの視聴者にメリットが大きいと考えられ、レコメンドに表示される可能性が高いです。
また、平均視聴時間を確認することで、動画を見た視聴者への印象の強弱を測ることができます。一般的に、印象の強い動画は長い時間視聴者に見られて、印象が薄い動画は視聴者に見られることなくスワイプされる可能性が高いです。
そのため、平均視聴時間の指標を使うことで、視聴者に対しての印象の強弱を測ることができます。
TikTokの目的別の分析方法
続いて、TikTokの目的別分析方法を紹介します。次の3つのケースに分けて解説していきます。
- ・ブランドイメージ向上が目的の場合
- ・知名度の向上が目的の場合
- ・実店舗での購買などのアクションが目的の場合
ブランドイメージの向上が目的の場合
ブランドイメージ向上を目的にする場合は、「合計再生回数」と「平均視聴時間」を分析すると良いでしょう。
合計動画再生回数は、プロアカウントから確認可能です。exolytでも確認できますが、プロアカウントの方が正確な回数を表示します。
また、分析のときは合計再生回数に対して、平均視聴時間が少ないかを確認してください。平均視聴時間が、動画時間の10%以下だと素通りしているユーザーが多いと考えられるため、コンテンツの工夫をして目に止まるだけでなく、長く見てもらう施策を検討しましょう。
ブランドイメージ向上のためには、ユーザーたちが共感できるコンテンツでなければなりません。そして、共感できるものならば、企業の広告であっても自然に受け止めてくれます。
たとえば、江崎グリコでは、11月11日の「ポッキー&プリッツの日」を盛り上げるためにTikTokを活用しました。このときユーザーに「#ポッキー何本分体操」というテーマで動画投稿を促すオフィシャルの「ハッシュタグチャレンジ」を実施し、5日間のキャンペーン中に数万の動画投稿数と、数千万の動画再生数を記録。こうしてブランドイメージ向上に成功した事例もすでに国内でもあります。
再生回数を増やし、平均視聴率を上げるには工夫が必要です。ただハッシュタグチャレンジを実施すれば良いわけではないため、よく見られている動画の研究や他企業の事例を参考にすると良いでしょう。
知名度の向上が目的の場合
知名度向上を目的とする場合は、「合計再生回数」と「フォロワー数」を基準に分析しましょう。
合計再生回数とフォロワー数は、プロアカウントにすれば確認可能です。フォロワーの数に対し、1動画の再生回数がフォロワー数の半分を下回る場合は改善の必要があります。また、分析のときは、一時的な分析ではなく、月ごとでフォロワー数と動画再生回数の比率を表示し、推移を確認すると良いでしょう。
インターネット上で知名度を向上させたい企業はたくさんあります。例えば、コカ・コーラでは、「リボンでありがとうチャレンジ」というハッシュタグを使ったTikTok広告を実施しました。
参加者の中から100名にQUOカード1000円分、そして特別賞に選ばれた動画はクリスマスイブに渋谷の屋外ビジョンで放映するといった工夫を行い、有名になりたい人を刺激して投稿数を増やすことに成功。多くの人を巻き込み、さらに知名度を向上させた事例として挙げられます。
また、中京テレビはVTuberのキミノミヤと大蔦エルの認知度向上を目的にTikTokに参入しました。インパクトのある動画を制作し、サムネイルで興味を引かせるために、VTuberと生身の人間のコラボを出したり、背景デザインのバリエーションを出したりといった工夫を施し、認知度アップに貢献。動画アップを継続し、「Vtoker総選挙」で、大蔦エルは1位を獲得しています。
フォロワーと合計再生回数を増やせば話題になりやすいため、分析をしっかり行いどのコンテンツでフォロワーが増えたのか、再生時間が伸びたのかを確認しましょう。そして、動画制作にも活かしてください。
実店舗での購買などのアクションが目的の場合
実店舗での購買アクションを目的とする場合は、動画視聴者の「所在地分析」がおすすめです。所在地もプロアカウントから確認可能です。実店舗に来てもらわなくてはならないため、所在地に合った動画コンテンツにすることが有効な手段の一つだからです。
また、動画を見てから来店してもらう施策も考えなくてはなりません。動画は、テキストや画像よりも圧倒的に訴求力が高く、共感性も高い広告です。
実際、「ハッシュタグチャレンジ」と題したキャンペーンを使い、来店者を増やせた事例もあります。このキャンペーンは、TikTok内で“お題”と専用のハッシュタグを設け、ユーザーはお題に沿った動画をハッシュタグを付けて投稿してもらうものです。
多くのユーザーを巻き込むことに成功したことが、背景にあるでしょう。自分たちがコンテンツを投稿するだけでなく、ユーザーに投稿してもらう参加型にして、巻き込んでいく施策も興味深い部分です。
また、飲食店のPRにTikTokを用いた事例もあります。グルメ系ショートムービーは、TikTokでも人気の高いコンテンツの一つで、ユーザーの関心も集めやすいです。そのため、TikTokでお店の料理風景や料理そのものが話題になれば、実店舗に行って食べてみたいと思うユーザーもたくさんいるでしょう。
日本マクドナルドでは、ハッシュタグチャレンジ「#ティロリチューン」を実施しました。これは、マックフライポテトが上がったときの「ティロリ」の音に合わせてダンスをしながら「500円バリューセット」を食べる様子を撮影するチャレンジです。
起動画面広告と、TikTok人気のインフルエンサーを起用し、動画を流すインフィード広告からハッシュタグチャレンジページへ誘導。結果として、23日間で総再生数1億回と5万件のユーザー動画投稿数を獲得しました。また、動画を見なくても音を聞いただけでマクドナルドの店舗を思い出させるような工夫も行い、大きな成果を残しました。
TikTokのおすすめ分析ツール
最後に、TikTokのおすすめ分析ツールをご紹介しましょう。今回は、有料のTikTok専用分析ツールがなかったため、無料のものを中心にご紹介します。
- ・プロアカウント
- ・exolyt
それぞれの特徴を解説しましょう。
プロアカウント
プロアカウントはTikTokの標準機能で、「フォロワー数」「合計視聴回数」「平均視聴時間」「視聴者の所在地」の分析軸を確認することが可能です。TikTokのプロアカウントは申請すると再生回数やインプレッションなどを確認することができ、無料で使えるツールでTikTok公式の機能なので使いやすく作られています。
また、プロアカウントは、2019年8月からすべてのユーザーに提供開始され、誰でも無料で設定できます。プロアカウントに設定すると、メニューに「インサイト」の項目が追加され、投稿ごとやアカウントのアナリティクスを確認可能です。
TikTokのプロアカウントでデータ分析できるのは、主に次の項目です。
- ・合計再生時間
- ・合計視聴回数
- ・平均視聴時間
- ・トラフィックソースの種類
- ・視聴者の所在地
- ・動画の視聴数
- ・フォロワー数の増減
- ・プロフィールの表示回数
- ・過去7日間の投稿数
- ・過去7日間の人気上昇中の動画
- ・フォロワー数の増減
- ・フォロワーの男女比
- ・視聴者の国籍
プロアカウントの設定は、次の通りです。
- 1. TikTokアプリよりマイページを開き、右上の「…」(もしくはハンバーガーメニュー)をタップする
- 2. 「アカウント管理」をタップする
- 3. 一番下にある「プロアカウントに切り替える」をタップする
- 4. プロアカウントの説明が2つ出てくるので、下の「続ける」をタップする
- 5. カテゴリーを選び「次へ」をタップする
- 6. 性別を選んだら「完了」をタップする
- 7. 自動的に設定画面に戻り「プロアカウントへようこそ」と表示されたら設定完了する
注意点は、設定直後は「データなし」の状態なので、時間を置く必要があることと、プロアカウント設定前の投稿は「合計視聴回数」以外の分析データはないことです。分析結果の要因を考え、コンテンツ改善につなげると良いでしょう。
どんな動画が再生回数が多くてバズったのかなどを分析し、次の動画制作の参考にして、再生回数アップやフォロワー数を増やしてください。
Exolyt
Exolytでは、「フォロワー数」の分析軸を確認することができます。自分の動画のインプレッションなどだけでなく、他人や企業のインプレッションまで確認することができるツールなので、他のユーザーと比較した際には有効でしょう。
また、Exolytでは「フォロワー数」の他にも、次の項目を確認することができます。
- ・総エンゲージメント
- ・コメント数
- ・平均いいね
Exolytでは、他人と比べて自分はどのぐらいのコンテンツをアップしたかも確認可能です。あまりアップされていないアカウントよりも、動画の多い方が取り組み方や真剣さも伝わります。
人と比べることで自分への戒めにもなるため、面白い機能と言えるでしょう。なお、Exolyt Premiumの機能も準備されており、より詳細なレポート分析も可能になるとのことです。
まとめ
TikTokの分析について解説しました。せっかくTikTokを始めても、ただ動画をアップするだけでは成果を得られません。フォロワー数の数や再生回数、視聴時間などを細かく分析し、コンテンツ制作に活かさなければ、認知度アップやブランド向上などの成果を残せません。結果を分析して、どんな動画がよく見られたのか、そして視聴時間が長いのかを認識しコンテンツを制作しましょう。
何事もそうですが、原因を知ることは重要でTikTokも同じです。また、分析ツールも無料で使えるため、TikTokでさらに成果を出すために導入しましょう。そして、さらにTikTokで多くの人にアピールしてください。
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