ソーシャルメディア上で大きな発信力・影響力を持つ人のことを「インフルエンサー(influencer)」と言います。しかし、実際には、一口にインフルエンサーと言っても、フォロワーの数にともなう影響力によって、それぞれ異なる総称があります。「マイクロインフルエンサー」はその一種で、フォロワー数が比較的少ないインフルエンサーのことです。
これを聞くと、「フォロワー数が少ないなら、マーケティング効果が薄いのでは?」と疑問に思う方がいるかもしれません。そこで本記事では、マイクロインフルエンサーを起用するメリットや依頼方法、そして実際のマイクロインフルエンサーPR事例を紹介します。マイクロインフルエンサーを起用したプロモーションを行う際にぜひお役立てください。
目次
マイクロインフルエンサーとは?
マイクロインフルエンサーとは、SNSにおいて強い影響力を持つ「インフルエンサー」の一種で、比較的フォロワーが少ないインフルエンサーのことです。
フォロワーが何人から何人のインフルエンサーをマイクロインフルエンサーと呼ぶといった明確な定義はありません。しかし、一般的な目安としてはフォロワー数が「1万人〜10万人」のインフルエンサーのことを「マイクロインフルエンサー」と分類する傾向があります。ここでは、インフルエンサーの種類を表にまとめて紹介しましょう。
名称 | フォロワー数 |
---|---|
セレブリティ・トップインフルエンサー | 50万人〜 |
マクロインフルエンサー | 10万人〜 |
マイクロインフルエンサー | 1万人〜 |
ナノインフルエンサー | 〜1万人 |
インフルエンサーは、当然ながらフォロワー数が多ければ多いほど、「発信力」や「影響力」もより大きくなります。これは、フォロワーが多い分、より多くのユーザーにリーチできるからです。
しかし、「エンゲージメント率」に関しては、フォロワーが少ないマイクロインフルエンサーやナノインフルエンサーの方が高い傾向があります。その理由は、フォロワーが少ない分、フォロワーとの距離が近く、一人ひとりのユーザーに与える影響力が大きいからです。
よって、マイクロインフルエンサーが、マクロインフルエンサー並み、もしくはそれ以上の影響力を持つことも十分に考えられます。インフルエンサーマーケティングで、マイクロインフルエンサーを起用するメリットについては後述しています。
ナノインフルエンサーとは?
ナノインフルエンサーとは、上記の表で示したとおり、マイクロインフルエンサーよりもさらにフォロワー数の少ないインフルエンサーのことです。具体的には、フォロワーが数千人〜1万人以下のインフルエンサーが該当します。
「ナノ(nano)」は、厳密に言えば「10億分の1」という小さな単位ですが、インフルエンサーの世界では、最低でも数千人以上のフォロワーがいることが前提となります。フォロワー数が数百人のユーザーがナノインフルエンサーとして活躍することは滅多にありません。
マイクロインフルエンサーを起用するメリット
続いて、マイクロインフルエンサーを起用するメリットについて解説していきましょう。インフルエンサーマーケティングにおいて、比較的フォロワーの少ないマイクロインフルエンサーを起用することには、主に次の3つのメリットがあります。
- ・エンゲージメント率が高く、ユーザーに対する影響力が大きい
- ・PRが円滑に進みやすい
- ・プロモーションにかかる費用を安く抑えられる
それぞれどういうことか、説明していきますね。
エンゲージメント率が高く、ユーザーに対する影響力が大きい
マイクロインフルエンサーは、マクロ・メガインフルエンサーと比べて、比較的フォロワー数が少ない分、一人ひとりのフォロワーとの距離感が近いという特徴があります。フォロワーが何十万人といる著名人よりも、フォロワー数が数万人程度のインフルエンサーの方が、一般ユーザーがより身近に感じやすいというのは当然でしょう。
つまり、マイクロインフルエンサーの持つ数万人のフォロワーは、積極的に「いいね!」をしたり、投稿にコメントを残したり……と、具体的なアクションを起こす可能性が高いのです。
インフルエンサーを起用したマーケティングにおいて、たくさんのユーザーにリーチすることはもちろん重要ですが、リーチ数が多くても、実際に「購入」「申し込み」「認知拡大」などといった成果が上がらなければ、効果は不十分でしょう。これらのことを踏まえると、一人ひとりのユーザーに与える影響力がかなり大きいマイクロインフルエンサーの起用は、企業にとってメリットが大きいと言えます。
PRが円滑に進みやすい
マイクロインフルエンサーは、先ほどお伝えした理由から、企業からの人気が高く、PR依頼が多く届いていることが予想されます。そのため、マイクロインフルエンサーはPR経験が豊富なことが多いです。
広告・宣伝のプロとまではいかなくても、「PR投稿の流れ」をしっかりと把握していることがほとんどであるため、円滑にPRを進めることができます。限られた時間の中で、マイクロインフルエンサーを選定した後、「依頼→交渉→投稿→報酬の支払い」を行う企業にとって、PRを円滑に進められるのは、かなり大きなメリットと言えるでしょう。
プロモーションにかかる費用を安く抑えられる
基本的に、インフルエンサーへのPR依頼にかかる費用は、フォロワーの数によって決まります。そのため、フォロワー数がマクロインフルエンサーと比べて少ないマイクロインフルエンサーは、費用を抑えて依頼することができます。
依頼内容にもよりますが、インフルエンサーを依頼する際の費用相場は、一般的にはフォロワー1人あたり1円〜2円ほどです。例えば、フォロワーが1万人のインフルエンサーに依頼をする場合、一つの投稿につき1万円前後が相場でしょう。
また、マイクロインフルエンサーは、上でお伝えしたように、フォロワーに対する影響力がかなり大きいため、費用を抑えつつ高い効果を得られることが期待できます。「費用対効果を高めたい」という方は、マイクロインフルエンサーへの依頼がおすすめです。
マイクロインフルエンサーの探し方・依頼方法
ここまでで、マイクロインフルエンサーを起用するメリットについてお伝えしてきました。そこで、続いてはマイクロインフルエンサーの探し方と依頼方法について詳しく解説します。「マイクロインフルエンサーってどうやって探せば良いの?」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
- ・自社でマイクロインフルエンサーを見つけて直接依頼する
- ・マイクロインフルエンサーが所属するプロダクションで選定・依頼
自社でマイクロインフルエンサーを見つけて直接依頼する
一つ目は、SNSを活用して自社でマイクロインフルエンサーを探し出し、直接依頼する方法です。マイクロインフルエンサーと直接やり取りができるため、仲介料が掛からない、要望をダイレクトに伝えられるなどといったメリットがあります。
しかし、デメリットとしては、マイクロインフルエンサーは、マクロインフルエンサーよりも数が多く、自社の商品・サービスにマッチしたマイクロインフルエンサーを探すのが難しいことが挙げられます。仲介業者を通さないため、仲介料こそ掛かりませんが、マイクロインフルエンサーの選定からPRを実施するまでに、かなりの時間を要してしまうでしょう。
マイクロインフルエンサーが所属するプロダクションで選定・依頼
二つ目は、マイクロインフルエンサーが所属するキャスティング会社やプロダクションなどを通して、マイクロインフルエンサーを紹介してもらう方法です。
多彩なインフルエンサーが所属するプロダクションに依頼することのメリットは、自社ブランドや商品・サービスのイメージに合ったマイクロインフルエンサーを紹介してもらえることです。また、インフルエンサーマーケティングの経験豊富なプロに任せることにより、確実に成果をあげることができるようになるでしょう。
デメリットとしては、自社でマイクロインフルエンサーを選定・依頼するのに比べて、仲介料やサービス料などといった費用が掛かってしまうことが挙げられます。とはいえ、プロダクションに依頼することで、マイクロインフルエンサーとこまめに連絡を取ったり、効果を分析したりなどという負担を減らせるため、長期的に見ればより効率の良い依頼方法と言えます。
マイクロインフルエンサーを起用したSNSマーケティング事例
それでは、マイクロインフルエンサーを起用したプロモーション事例を3つ紹介します。それぞれの事例の詳細と、学べるポイントを確認していきましょう。
- ・トリコ株式会社
- ・全日本空輸株式会社(ANA)
- ・アディダスジャパン株式会社
トリコ株式会社|FUJIMI
一つ目は、トリコ株式会社が販売を手がけるパーソナライズドサプリ『FUJIMI』のマイクロインフルエンサーPR事例です。トリコ株式会社のFUJIMIは、「公式アンバサダー」を募集したり、「#Fujimiのある暮らし」というオリジナルハッシュタグとともにフォトコンテストを開催したり、さまざまなInstagramマーケティングを積極的に行っている企業アカウントです。
そんなトリコ株式会社では、マイクロインフルエあたりンサーを活用したPRも多く手がけており、フォロワー数2.5万人や1.8万人、9,000人などのマイクロインフルエンサーを多く起用しています。こちらは、マクロインフルエンサー数人に絞って依頼するのではなく、多数のマイクロインフルエンサーに依頼することにより、認知度を拡大することに成功したという点において、非常に参考になる事例の一つです。
全日本株式会社(ANA)|ソラタビライフ
続いて紹介するのは、全日本空輸株式会社によるマイクロインフルエンサー活用事例です。
全日本空輸株式会社は、「ソラタビライフ」において、フォロワー5.9万人のマイクロインフルエンサー「AOI」さんとのタイアップ投稿を行いました。投稿内容は、沖縄旅行の写真と共に、ANALYSISの「ソラタビライフ」を紹介するというもの。
こちらは日本各地・海外の旅行風景を紹介する「ソラタビライフ」が、旅行系インフルエンサーを起用したことで、自社サービスとマッチしたマイクロインフルエンサー選定が上手な事例の一つです。こちらのPR投稿では、1,300件以上の「いいね!」を獲得しています。
一口に「マイクロインフルエンサー」といっても、「美容系」「旅行系」「ファッション系」など、そのジャンルは多岐にわたるため、自社の商品・サービスの魅力を最大限に伝えられるマイクロインフルエンサーを選定することを心がけましょう。
3.アディダスジャパン株式会社|グリッチ
最後に紹介するのは、アディダスジャパン株式会社のマイクロインフルエンサー活用事例です。アディダスジャパン株式会社は、サッカー用スパイク「グリッチ(Glitch)」のプロモーション用アプリの認知拡大に、マイクロインフルエンサーを多数起用しました。
これにより、あっという間に「グリッチ」の購入に必要なアプリの存在がサッカーファンの間で知れ渡り、大成功を収めました。こちらは、マイクロインフルエンサーが、商品の認知拡大に大きく貢献した事例の一つです。
マイクロインフルエンサーを起用する際の注意点
最後に、マイクロインフルエンサーを起用する際に押さえておきたい注意点を3つ紹介します。それぞれのポイントを確認していきましょう。
- ・自社ブランド・商品のイメージに合ったマイクロインフルエンサーを選ぶ
- ・偽のフォロワーがいないかチェックする
- ・ルールは明確に、投稿内容には自由度を持たせる
自社ブランド・商品のイメージに合ったマイクロインフルエンサーを選ぶ
一口に「マイクロインフルエンサー」と言っても、投稿ジャンルやスタイルなど、特長やイメージは一人ひとり大きく異なります。そのため、マイクロインフルエンサーを起用する際には、自社ブランドや自社製品・サービスのイメージに合っているかどうかを基準に選びましょう。
自社のイメージとマッチしたマイクロインフルエンサーを選定することにより、ターゲット層にリーチしやすくなるため、宣伝の効果が高まります。
偽のフォロワーがいないかチェックする
冒頭でお伝えしたとおり、マイクロインフルエンサーは1万人〜10万人のフォロワーがいることが前提となります。そのため、当然ながらマイクロインフルエンサーを選ぶ際には、「フォロワー数」をまず確認する必要があります。
しかし、中にはフォロワーを購入しているインフルエンサーもいるため、念のためチェックしておくと安心です。お金で購入したフォロワーを「偽フォロワー」と言い、偽フォロワーは「数」として反映こそされるものの、「いいね!」や「コメント」などのアクションを起こさないことはもちろん、投稿を見ることすらしません。
そのため、偽フォロワーの多いインフルエンサーにPRを依頼してしまうと、思ったような効果を得られないので注意が必要です。
偽フォロワーをチェックする方法としては、「フォロワー数」と「コメント数」を照らし合わせることが有効です。フォロワー数が何万人といるのに、どの投稿にもコメントがついていないといった場合は、危険信号です。
また、最近では偽フォロワーをチェックするツールも誕生していますので、ツールを活用して偽フォロワーの有無をチェックしても良いでしょう。
ルールは明確に、投稿内容には自由度を持たせる
インフルエンサーマーケティングを行うにあたり、「投稿内容」や「画像スタイル」などについて細かく指定した方が良いと思うかもしれません。確かに、PRを行うにあたって、「PR表記をしてステマを防ぐ」「いつまでに何回投稿をする」などといったルールを明確にしておくことは重要です。
しかし、投稿内容に関しては、ある程度「自由度」を持たせることをおすすめします。その理由は、投稿内容について細かく指定してしまうと、マイクロインフルエンサーの持つ個性が十分に発揮できず、投稿の魅力や効果が半減してしまうことが懸念されるからです。
また、投稿内容をマイクロインフルエンサー自身に決めてもらうことにより、よりクリエイティブな投稿に仕上がったり、企業では出せない商品の魅力を引き出せたりなどといったメリットも期待できます。
まとめ
マイクロインフルエンサーを起用するメリットや依頼方法、そして実際のマイクロインフルエンサーPR事例を紹介しました。
マイクロインフルエンサーは、マクロインフルエンサーと比べて、比較的フォロワーが少ないですが、エンゲージメント率が高いため、一人ひとりのユーザーに対してより大きな影響力を持っています。インフルエンサーを起用する際には、ぜひマイクロインフルエンサーを積極的に起用していきましょう。
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