近年、注目を集めている「アンバサダーマーケティング」。アンバサダーというと英語では「大使」を意味する言葉ですが、アンバサダーマーケティングにおけるアンバサダーは少し違う意味になります。
今回はそんなアンバサダーの意味も含め、アンバサダーマーケティングの概要やメリット・デメリット、企業事例などについて解説していきます。企業事例も参考に、具体的にアンバサダーマーケティングのイメージを膨らませてみましょう。
目次
アンバサダーマーケティングとは?必要な背景も。
アンバサダーマーケティングとは、自社の商品やサービスを熱心に利用しているアンバサダーに、自社の宣伝を行ってもらうマーケティング手法です。アンバサダーとは、もともとの「大使」という意味ではなく、「自社の宣伝・サービスのファンであり、SNSやブログなどさまざまな媒体で積極的に商品・サービスの魅力を情報発信している人」を指します。
アンバサダーは必ずしも影響力の大きい芸能人やインフルエンサーに限らず、あくまで自社の商品・サービスをどれだけ好きか、その熱心度が選出のポイントです。アンバサダーによって拡散された熱量を持った情報により、口コミやSNS上などでさらなる認知拡大が期待できます。
アンバサダーマーケティングが必要な背景
アンバサダーマーケティングが必要とされているのは、「消費者が購買プロセスにおいて、口コミを重要視している」という背景があります。例えば、Webサイト制作やコンテンツマーケティングを展開している株式会社アットフリークの調査では、初めて目にする企業の商品やサービスの信頼性が上がった要因として「口コミの評価が高かったから(60.4%)」という結果が上がっています。
この口コミこそが、まさしくアンバサダーマーケティングの領域です。商品・サービスの魅力が正しく伝わる口コミを多くの人に見てもらう手段として、アンバサダーマーケティングは注目を集めているのです。
アンバサダーマーケティングでの実施内容と効果
では具体的にアンバサダーマーケティングの内容と実施した際にはどのような効果が期待できるのでしょうか。ここでは具体的な実施内容と期待できる効果を紹介します。
ブランドイメージを正しく伝える
自社のブランドイメージにマッチしたアンバサダーを起用し、発信してもらうことで、ブランドイメージを正しく伝えることが可能です。例えば、高級ホテルが品の感じられる大人の男性・女性をアンバサダーに起用することで、品格高い高級ホテルのブランドイメージを正しく発信できます。逆に正しくブランドイメージを伝えられていない企業は、自社のブランドイメージに近い発信をしてくれそうなアンバサダーを起用すると良いでしょう。
狙いたいターゲット層のアンバサダー起用によるブランドイメージの刷新
既存の顧客だけでなく、今後狙っていきたいターゲット層に属するアンバサダーに商品・サービスを拡散してもらうことで、該当のターゲット層への認知拡大を狙えます。
例えば、これまで主に男性が仕事場で着用していた衣服を女性にも普段着でも使って欲しいと思ったとしましょう。このケースでは女性のアンバサダーを起用し、衣服の魅力やオシャレな着こなし方法などを拡散してもらうことで、女性への認知拡大およびブランドイメージの刷新を図ることが期待できます。
アンバサダーへプレゼントを提供し、さらなるファン化を促す
アンバサダーマーケティングの中には、特典として自社商品やサービスをプレゼントする企業もあります。例えば、食品メーカーであれば自社オリジナル食品を、靴メーカーであればオリジナルシューズをプレゼントする、というような内容です。
この手法を講じることで、本来のアンバサダーマーケティングの効果と併せて、アンバサダーのさらなるファン化に繋がります。熱心になったアンバサダーにより魅力的な拡散を行ってもらうことで、さらなる認知拡大やブランドイメージの向上を期待できるでしょう。
SNSマーケティング、インフルエンサーマーケティングとの違い
アンバサダーマーケティングと混同しがちなSNSマーケティングおよびインフルエンサーマーケティングとの違いは以下の通りです。
概要 | アンバサダーマーケティングとの違い | |
SNSマーケティング | SNSを用いて行うPR施策全般 | SNSマーケティングはアンバサダーマーケティングを一部含む概念 |
インフルエンサーマーケティング | 強い影響力を持つインフルエンサーに宣伝をしてもらうPR施策 | 影響力のある人物に依頼するのがインフルエンサーマーケティング。影響力の大小に関係なく、熱心なファンに依頼するのがアンバサダーマーケティング |
アンバサダーマーケティングはSNSやブログが用いられます。このうち、SNSが使われる場合はSNSマーケティングの手法の一つになります。違いというよりは、SNSマーケティングは一部アンバサダーマーケティングを含む概念だと覚えておきましょう。いSNSマーケティングとインフルエンサーマーケティングについては他の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
参考記事:「SNSマーケティングとは?」
参考記事:「インフルエンサーマーケティングとは?」
またアンバサダーマーケティングとインフルエンサーマーケティングは、影響力を持つインフルエンサーがPRを行うか、影響力の大小問わず商品・サービスのファンであるアンバサダーがPRを行うかの違いがあります。
アンバサダーマーケティングのメリット
アンバサダーマーケティングのメリットを2つ解説していきます。
低コストでも認知拡大を狙える
一般的に「フォロワー数×企業設定単価」で報酬が決まるインフルエンサーマーケティングと比べ、アンバサダーマーケティングのコストは低く抑えられます。アンバサダーマーケティングも大々的に取り組むとなると、大きな費用が発生しますが、具体的なコストは、自社製品の無料プレゼントやイベントの招待などに係る費用に留めることも可能ですです。情報発信に係るコストを抑えて、宣伝ができる点はアンバサダーマーケティングの魅力でしょう。
ファンであるアンバサダーの声を集められる
アンバサダーマーケティングを実施する企業によっては、アンバサダーに商品モニターをお願いするケースもあります。企業としては、商品・サービスのファンでもあるアンバサダーの率直な意見を取り入れたいと考えているのです。アンバサダーとしても新商品をいち早く試すことができるというメリットがあります。
アンバサダーマーケティングのデメリット
メリットだけでなく、アンバサダーマーケティングのデメリットも整理しておきましょう。
アンバサダーを見つける手間がかかる
条件をクリアしたアンバサダーを発見するのは難しく、手間がかかります。エゴサーチをすれば自社の商品・サービスを投稿しているユーザーを見つけはられるものの、ユーザーの投稿スタイルがかえってブランドイメージを損ねるものであってはいけません。
また、あまりにも商品・サービスの購入頻度が低いと、投稿頻度も少なくなり、アンバサダー事業に係る費用に見合った効果を出せない可能性も出てきます。このように条件をクリアするユーザーとなると、グッとその数は減ってしまうのです。アンバサダーを見つけるには手間暇がかかる点は頭に入れておきましょう。
インフルエンサーほどの訴求範囲は広くない
アンバサダーは影響力の大きなインフルエンサーほどのフォロワーを抱えていないのが一般的です。そのため、訴求範囲はインフルエンサーと比較するとかなり低いと考えましょう。
ただし、アンバサダーの投稿はファンであるが故の「熱量」や「広告っぽくなさ」があります。そのため、訴求力ではアンバサダーも引けを取りません。
アンバサダーマーケティング事例
最後にアンバサダーマーケティングの事例を3つ紹介します。
ワークマン
作業服や安全靴などで有名な「ワークマン」。ワークマンでは、アンバサダーマーケティングとして、継続してワークマン製品を発信している人や製品開発のアドバイスをする人などワークマンを応援している人を「ワークマン公式アンバサダー」として認定しています。ワークマン公式アンバサダーになると、新製品発表会に招待されたり、新製品のモニターをお願いされることがあります。掲載許可を出したワークマン公式アンバサダーはHPにも掲載されるため、アンバサダー自身の認知拡大にも寄与する点がポイントです。
ホテルニューオータニ
名門ホテル「ホテルニューオータニ」も、インスタグラムにてホテルニューオータニ(東京)に関するコンテンツを投稿しているメンバーをホテルニューオータニアンバサダーとして認定。アンバサダーはホテルより投稿の依頼や各種イベント紹介、新作スイーツの試食、新装ルームの試泊などの活動を行います。ホテルニューオータニとしては、インスタグラム上にてイベントを楽しんでいる様子を投稿してもらい、宿泊意欲の向上を狙っているのでしょう。
ネスレ
コーヒー製品ネスカフェを展開している「ネスレ」はアンバサダーマーケティングに力を入れている企業の一つです。ネスカフェアンバサダーに認定された企業はマシン使用料0円で、お得にコーヒーを楽しむことができます。なお、ネスカフェアンバサダーは職場で働く人であれば誰でもなることが可能です。
まとめ
アンバサダーマーケティングはインフルエンサーマーケティングと異なり、熱心なファンに自社の商品やサービスを広めてもらう手法です。マーケティングのおける口コミの重要性が増しているなか、低コストで実施できるアンバサダーマーケティングは有効な手法と言えるでしょう。アンバサダーを見つける手間はかかるものの、コストを抑えてPR施策を推進したい企業はアンバサダーマーケティングの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
ご興味お持ちの企業様、当社にお気軽にご相談ください。