2010年代後半から、日本においてオンラインのWebメディアが本格的にテレビと同等の広告力を持って来るようになりました。特に伸びてきた媒体が動画のソーシャルネットワーキングサービスであるYouTubeです。
今では、テレビCMを中心に広告出稿してきた大企業が広告コストの3割~4割をYouTubeの広告出稿に充当する時代になり、今後その比率はさらに高くなると言われています。また、安価で出稿できることもあり、中小企業だけでなく個人事業でもYouTubeを中心に動画広告を出稿しています。ユーザーから見ても、YouTubeを視聴した際には基本的に動画広告を視聴する流れになっており、動画広告への抵抗も少なくなってきました。
では、実際にこのような動画広告はどのような種類があり、どのような効果をもたらしているのでしょうか?動画広告を視聴する方は多くてもどのような仕組みなのかを理解している方は多くありません。今回は、YouTubeの広告のメインであるTrueViewについて解説していきたいと思います。
Youtube全体のYoutubeマーケティングに関しては以下の記事をぜひご覧ください。
YouTubeマーケティングとは?企業の4つの成功事例から学ぶやり方・活用方法
目次
YouTubeの「TrueView」とは?
TrueView(日本語ではトゥルービューと呼称)はYouTubeのサイト内にて流れる動画広告です。
YouTubeの動画を視聴する際に、動画開始前、中盤、そして動画終了後に流れるもので、動画の秒数の尺は15秒以上です。ユーザーからすれば、視聴したい動画の前に流れるため、良いイメージをいまだに持っていない方もいるかもしれません。
YouTubeはGoogleが運営しており、TrueViewについてもGoogle広告の管理画面から設定、編集が可能です。そのため、すでにGoogle広告を使用されている方からすれば、出稿から管理まで自信で対応可能です。
テレビCMと比較すると代理店との調整や第3者の介入が不要なため、出稿までの難易度が低い動画広告とされています。
また、TrueViewを出稿したことによって発生したクリックや、一定数秒以上の視聴によって広告費用が発生するため、効率的な広告出稿が可能です。予算管理もしやすく、1日の広告予算を決めてその予算内で出稿できる仕様になっています。
YouTubeの動画広告の種類
YouTubeにはさまざまな広告の種類があります。TrueViewだけでなく、YouTubeの各種機能に合わせて広告があり、それぞれ仕様と目的が異なりますまず、YouTubeには大きく分けて2つの広告のフォーマットが存在します。1つがインストリーム広告、もう1つがアウトストリーム広告です。
インストリーム広告とは動画視聴の際に表示される広告です。TrueViewもインストリーム広告のフォーマットに沿った動画広告になります。アウトストリーム広告はYouTube内で広告枠に表示される広告です。フォーマットに沿って主にどのような広告の種類を開設していきます。
インストリーム広告
インストリーム広告とは、動画再生画面(動画のコンテンツ内)に表示される広告フォーマットを指します。動画の枠で表示されるため、サイズが大きく、主に映像、音、文字を掛け合わせて商品・サービスをユーザーに訴求することが可能です。
基本的に最も表示される動画広告という事もあり、大手飲食メーカー、大手キャリアはテレビCMの放映期間と同期間で連動して出稿しています。インストリーム広告の特徴は大きく分けると3つあります。
- 1. 動画のコンテンツ内で表示されるため、視聴されやすい
- 2. Google(YouTube)のユーザー情報を利用して細かなセグメント及び分析が可能⇒テレビCMでは対応不可なユーザー情報に合わせたセグメント、効果の可視化が可能
- 3. 視聴課金型
また、インストリーム広告内では主に3つの種類があります。
- 1. プレロール:動画が再生される前に表示動画広告で、インストリーム広告の約8割のボリュームです。
- 2. ミッドロール:動画の中盤に表示される動画広告で、動画自体が長い場合、複数回表示される事もあります。
- 3. エンドロール:動画が終了した時点で表示される動画広告で、視聴完了率が低いものです。
アウトストリーム広告
アウトストリーム広告とは、動画枠外の広告枠にて表示される広告となります。動画枠の外側という意味から「アウト」というワードが組み込まれています。
具体的には、YouTube内のHOME画面、検索結果表示画面、おすすめ動画枠、視聴動画の下部などの広告枠に表示されます。枠によっては一番上のスペースや特にユーザーの視点が集まるような枠に表示される事もあるため、多くのユーザーに対してインプレッションを取る事が可能であり、動画を視聴するユーザー以外にも動画広告でアプローチすることができ、広範囲への訴求が可能です。
注意点としては、画像や動画内容に関わらず、広告枠に表示されることから「広告」と瞬時に判断されやすい点です。そのため、なるべくユーザーに不快感を与えないように広告コンテンツを作成する必要があります。広告の内容としては動画か画像です。
また、インバナー広告において音声はデフォルトではOFFとなっていますが、バナーに触れると動画が始まる仕様になっているものも存在します。
バンパー広告
YouTubeにおいて視聴する動画の冒頭に流れる6秒以下の動画で広告視聴完了までスキップができないものです。簡単に説明すると、6秒間の動画広告を最後まで視聴しない限り、動画が視聴できません。
バンパー広告が流れると右下に「5秒、4秒、3秒、2秒、1秒」、「広告をスキップ」と帯が表示されます。6秒で動画が終わるため、訴求内容をコンパクト化にして配信する必要があります。
数秒で訴求したい商品やサービスをユーザーに認識してもらうためにインパクトの強いコンテンツや音声にしていることが多いです。商品やサービスへの好意度形成の難易度は高いですが、認知度の向上やリーチの拡大に適している動画広告と言えます。
また、尺が短いことからユーザーが飽きることなく広告への注目を担保することが可能であり、不快感も少ないためブランディングにもつながると言われています。
広告の費用管理面ではCMP課金制となっています。広告が1,000回表示されるごとに課金されるため、動画の完全視聴に最適化して配信が可能です。
用途や目的は限定される一面はありますが、費用対効果が高い動画広告とされており、特に多く予算を持っている大企業が出稿しています。
バンパー広告でまずは認知を獲得し、TrueViewや他のディスプレイ広告などで興味・好意度形成につなげるフローとなっています。TrueViewと大きく異なる点は尺の長さと動画広告が視聴完了になるまでスキップができるかできないかです。
尺について、バンパー広告は6秒、TrueView広告は15秒以上です。スキップについては、バンパー広告は完了まで必ずスキップできない仕様に対してTrueViewは完了までにスキップできないものとスキップできるものがあります。
マストヘッド広告
マストヘッド広告とはYouTubeのトップページ画面に掲載される広告です。YouTubeのHOME画面の最上部など、ユーザーの視点が集まる箇所に広告が表示されるため、インプレッション効果の高い広告と言えます。
費用管理については掲載日数に対して課金する形態とCPM課金制(インプレッション単価)のどちらかを選択する事が可能です。
TrueView広告の種類
TrueViewは、大きく分けて2種類あります。前述したインストリーム広告とディスバリー広告の2つを解説していきます。
- ・TrueViewインストリーム広告
- ・TrueViewディスカバリー広告
TrueViewインストリーム広告
TrueViewインストリーム広告はYouTubeの動画を視聴する際の冒頭・中盤・最後に表示される動画広告です。形式が2つあり、5秒後にスキップが可能なスキッパブル広告、15秒間の動画を視聴完了するまでスキップ不可なノンスキッパブル広告です。
スキッパブル広告は再生を開始してから5秒が経過すると、右下のボタンから視聴者は広告をスキップできるようになります。視聴者が動画を30秒以上視聴するか、画面内の導線をクリックした際のみ、広告費用が発生するため、費用対効果が高いと言われています。
また、動画自体の尺の限度もなく自由性が高いです。ただ、多くのユーザーがスキップボタンに視点を集めるため、訴求コンテンツには工夫が必要です。
ノンスキッパブル広告は、15秒間の動画でスキップが不可なものです。動画が表示された時点で料金が発生するCMP課金制(インプレッション単価)となり、1,000回毎の表示回数で課金されていきます。強制的にユーザーに動画広告を視聴させるため、不快感を与える可能性もあります。
TrueViewディスカバリー広告
TrueViewディスカバリー広告はYouTubeのHOME画面や検索結果画面、おすすめ(関連)動画に隣接して表示される広告です。ユーザーが検索したキーワードや視聴した動画に関連して、セグメントされた広告が表示されます。
広告の内容としては画像(サムネイル)とテキストの組み合わせとなっており、クリックすることで再生される仕組みです。ユーザーがル画像をクリックし、動画広告を視聴した際に課金されるため費用対効果は高いと言えます。基本的にユーザーが能動的に広告を視聴するためCVRが高いとされています。
TrueViewの機能・メリット
TrueViewを出す上でセグメント配信など、どのような機能とメリットがあるのか解説していきます。
- ・ターゲット・セグメント
- ・リーチできるユーザーが幅広い
- ・商品・サービスページに直接リンク
ターゲット・セグメント
YouTubeはGoogleのサービスであるため、Google上のデータからユーザーの属性を参照し、細かいセグメントをした上での配信が可能です。年齢、性別、興味関心、地域などの属性からセグメントを行い、訴求したい商品・サービスに対して最も効果的な配信が可能であることが大きな強みです。
また、リマーケティング機能もあり、ある指定の動画を視聴したユーザー、または指定のチャンネルを登録しているユーザーに向けて動画広告をあてることも可能です。ユーザー属性だけでなく、訴求したい商品に関連する動画を視聴しているユーザーに対してコアな内容で配信できるため、親和性の高いアプローチとなり、費用対効果も大きい動画広告とされています。
リーチできるユーザーが幅広い
現在、YouTubeは国内において利用者は7,000万近いとされています。また、若年層だけでなく40代、50代まで幅広い層が利用しており、年代・性別関係なくリーチが可能です。
前述した通り、Google上のデータからユーザー属性が分かるため、テレビCMとは異なり各世代・性別の効果分析も可能です。
商品・サービスページに直接リンク
TrueViewはクリックする事で、設定済のページに遷移させることが可能です。訴求したい商品・サービスの動画広告をあてた後に、そのままLPに誘導させる仕様になっています。
テレビCMとは異なり、認知や検索への移行に留めるのではなくそのまま購買のステップに進めることができるところが大きな強みです。
TrueViewを利用することで得られる効果
TrueViewはセグメントした上での配信かつ、ユーザーのアクション(30秒以上の視聴・クリック)にて課金される仕組みのため、費用対効果が高い広告とされています。
費用対効果面では、テレビCMの広告出稿が10割だった企業がテレビCMに5割、YouTubeに5割のコストに変動したところ、+20%の検索数増加につながるなど大きな効果を出しています。
また、事前に予算を決めて、その範囲で広告を出稿することが可能となっており、1円から設定が可能です。個人経営や中小企業であれば、一般的には1,000円単位などで設定しているケースが多いです。
例えば、1日2,000円を上限に設定すれば、1ヶ月にかかる費用は60,000円です。管理画面から動画配信の変更や停止等の処理が可能なため、試しながら費用感の調整が可能です。
TrueViewに設定する動画について
TrueViewを配信する上でどのような動画が効果的なのか解説していきます。
認知拡大を目的とするケース
TrueViewに設定する動画は目的によって仕様が異なります。商品の認知を取りたいのであれば、なるべくショートムービー(15秒~30秒)が好ましいとされています。
インパクトを意識した形で冒頭に商品を訴求することで記憶につながります。テレビCMのような簡潔化した動画が一般的です。
興味・好意度形成を目的とするケース
興味・好意度の形成をするのであればストーリー仕立ての動画(1分~)が好ましいとされています。ドラマやアニメのように起承転結を軸に商品を訴求することで、商品への不快感は抑えることが可能です。
登場人物と商品の関係性から構築する事がおすすめです。
TrueViewの成功事例
TrueViewを出稿する事によって商品やサービスの売り上げ増加、また認知度拡大につながった例は多くあります。今回はどのような事例が成功したか解説していきます。
成功事例①:簡易的アプリゲーム
一つ目はブロックゲームや、簡単なシューティンゲーム、また脳を使うようなパズルゲームといった簡易的なアプリゲームの動画広告です。基本的にゲームシーンを流しており、視聴者側からすれば操作方法・クリアの難易度が低いと感じられる内容になっているのですが、クリアするのではなく失敗の結果になる動画となっています。
ユーザーに対して自分であればクリアできる、自分で操作してみたいと思わせる心理的効果を使用しています。結果として、ただゲーム内容を訴求するよりも直接、導線からゲームアプリのDL促進に大きくつながった結果になっています。
成功事例②:漫画式アニメ動画
2つ目はマッチングアプリ、脱毛、ダイエット関連の商品で多く見られる漫画式のアニメ動画です。結果的に認知度拡大に大きくつながっており、大きな理由が2点あります。
1つ目はスキップされにくく、長く動画が視聴されやすい点です。エンタメ要素が強く、商品を冒頭から訴求しないため視聴されやすいです。そのため、動画に見入ってしまい商品を認知してもらえます。
2つ目はBeforeとAfterがストーリー性でわかりやすい点です。アニメという事もあり、問題を抱えた主人公が訴求している商品を通して解決するサクセスストーリーであることが多いです。
イメージで上げると、進研ゼミの漫画のようなストーリーになっています。ストーリー仕立てであることから認知度だけでなく、興味・好意度につながりやすいです。
まとめ
Webメディアの動画広告が増えている中でYouTubeのTrueViewは大きく注目を集めており、今後、出稿量は増えていくとされています。YouTubeにおける動画広告の中でも費用対効果の高い媒体とされており、費用の管理も非常にしやすいです。
また、広告自体のコンテンツや配信セグメントによってもたらす効果が大きく異なるため、商品の特性とマーケット調査をした上での配信が効果的とされています。成功した例も着実に増えており、TrueViewにおけるマーケティング手法も今後、広がっていくと予想されます。
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