「Clubhouse(クラブハウス)」をD2Cで活用するポイントは

2021年1月中旬から、「Clubhouse(クラブハウス)」という音声SNSが大きく流行し始めました。今までのSNSはテキスト・写真・動画など視覚的な情報を軸にしたTwitter、Instagram、Facebookが主流な中で、Clubhouseは「音声のみ」という斬新なSNSになっています。

Clubhouseが急速に流行した背景の一つは、ASMRや顔出しなしのライバーなど、音声に需要のある市場の傾向にマッチングした事が挙げられます。加えて、入会方法が完全招待制であることから、インフルエンサーや流行に強い人間を中心にClubhouseが流行し始め、2月前半には多くの一般のユーザーにも浸透しました。始めたくても始められない特性が希少性・プレミア感を生み出し、逆にここまでの急速な流行につながったと思われます。

現在、このClubhouseを軸に現在、さまざまなビジネスが生まれようとしています。まだ国内においてClubhouseは創世記であるため、今後さまざまなビジネスやマーケティング手法に派生していくと予測されています。そこで、今回はD2CビジネスにおいてClubhouseがどのように活かされていくのかについて解説していきます。

Clubhouse(クラブハウス)とは?

Clubhouse

Clubhouse(クラブハウス)は、一言で表すと音声のSNSです。視覚的情報が少なく、Roomを通してユーザー同士が交流することが可能です。入会方法から使い方まで、基本的なClubhouseの情報について説明していきます。

Clubhouseの入会方法

Clubhouseは完全招待制のSNSとなっており、入会したい場合はすでに利用している知り合いからSMSを通して招待を送ってもらうことが必要です。現在では、2021年1月と比較して多くのユーザーがClubhouseを利用しているため、始めたい場合は友人に声を掛けてみるのも良いかも知れません。

前述したように、SNSの中でも異例の入会方法であり、完全招待制だからこそ短期間で急速に拡大したと言えます。入会時に注意すべき点としては、iOSのみの対応かつ電話番号が必要となります。

Clubhouseな基本的な使い方

タイムライン上に作成したRoomで、Clubhouseに参加している世界中のユーザーとリアルタイムで音声のやり取りが可能です。Roomには件名をテキストで付けることは可能ですが、他に映像やテキストを付けることは不可能となっています。ユーザーの音声を聞く、または話すことが目的となっています。

また、いいねやコメント機能もなく、Roomにどのユーザーが参加しているか、何人参加しているかを確認することが可能です。現在は大きく次のように使われています。

基本的な使い方
  • 1. 自分の知り合いとクローズドなRoomで会話する
  • 2. 自分の好きなカテゴリをフックに不特定多数のユーザーと会話する
  • 3. 企業がセミナー、講義を開催する
  • 4. インフルエンサーが語り手として自分のファンにコミュニケーションを図る

Clubhouseはビジネスに活かせるか

InstagramやTwitter、Facebook、YouTubeなど大手SNSは、元々の一般に向けたプライベートなSNSから大きくビジネスや集客を目的に派生した利用方法に進化しています。すでにSNSが浸透し、ビジネスにSNSを活用することが当たり前になっている時代に生まれたこともあり、Clubhouseは早々とビジネスに活かしているユーザーが多く現れています。

Clubhouseは、D2Cの愛称も良いとされています。では、どのような活用方法があるでしょうか?

Clubhouse(クラブハウス)を活用したD2Cの成功事例

そもそも「D2C」とはどのようなビジネスモデルかについて、簡単に説明しておきましょう。

D2Cは「Direct to Consumer」を略したものであり、自信で企画から作成した商品やサービスを代理店などの他媒体を通さずに消費者に対して直接、販売や取引をするモデルです。SNS、ECサイトや直営店を通して消費者と関係性を築き、自社の商品を販売しています。

最近では、個人やベンチャーを中心にアパレルブランドや美容ブランドの多くがこのD2Cのモデルを採用しており、ビジネスモデルが確立されています。SNSで置き換えると、自社の商材を自社のSNSアカウントを通して、プロモーションから販売まで完結するフローとなります。

特に、SNSはD2Cモデルと相性が良いとされており、独自のプロモーションができることからフォロワーをブランドのファンにしやすい傾向があります。Clubhouseでも同じく、音声を通して消費者に対してダイレクトに販売するきっかけになるとされています。

では、実際に日本でClubhouseで成功した事例を2例紹介していきます。

成功事例
  • ・食べチョク
  • ・食べる美容酵素ジェラート amakouji

食べチョク

株式会社ビビッドガーデンが運営する「食べチョク」は、全国2,800軒を超える農家や漁師から食材やお花を直接お取り寄せできる直産ECサイトです。生産者から直接、新鮮なままで食材が送られてくることに加えて、実際に生産者側と直接メッセージのやり取りが可能です。他ECサイトと異なり、生産者と消費者を直接つなぐことをウリとしています。

食べチョクは、Clubhouseで食べチョク代表、または食べチョクスタッフが『農家漁師の井戸端会議 #食べチョクハウス』を配信しており、生産現場の実情や各地域の特性、旬の食材や美味しい食べ方などを生産者とともに配信しています。食べチョクへの登録・出品の有無に関わらず、生産者であれば誰でもスピーカーとして参加可能です。

ユーザーはさまざまな生産者から直の声を聞いて「食べチョク」を認知し、生産者も含めて興味を持つきっかけとなります。基本的には関われない生産者と消費者がClubhouseを通して気軽に交流することで、生産者の思いや事情を知ることができるのです。

食べチョクは生産者の声を日常的に配信することが、一次産業への理解促進や生産者のファン作りにつながると発表しています。

食べる美容酵素ジェラート amakouji

「amakouji」は店頭販売しないD2Cの甘麹ブランドです。「食べる美容酵素ジェラート」としてテレビでも紹介されており、現在話題を集めている商品です。

amakoujiは現在、Clubhouseで情報発信しており、大きく売り上げ増加につなげています。代表の麹王子さんはamakoujiの代表としてRoomにスピーカーとして参加し、商品だけでなく自分が独立した経緯や「なぜ甘酒で起業したのか?」「なぜ甘酒ジェラートだったのか?」など、商品のルーツに関するストーリーを話しています。

10分~15分と短い時間でお話される内容が非常におもしろいと好評で、初見のユーザーをファン化にしてしまうと話題になっています。実際にRoomに滞在1時間で40万円の売上につながり、1ヶ月で250万円に到達したとTwitterで投稿されています。

また、amakoujiはClubhouse限定のクーポンを発行しており、Roomを通して興味を持ったユーザーを購入につなげる役目を担っています。今後、他のブランドでも多用されていくことが予測されます。現在も定期的に代表がRoomで「Clubhouseを通した売上を増やす方法」などを話しおり、商品の告知だけでなくClubhouse活用のノウハウを学ぶことができます。

Clubhouse(クラブハウス)がD2Cと親和性が高い理由とは?

Clubhouse(クラブハウス)をD2Cモデルのプロモーションの販路の一つとする上で、背景を理解しておく必要があります。特にブランドとの親和性、D2Cモデルとの親和性を軸に解説していきます。

Clubhouseとブランドの親和性

Clubhouseはブランド側目線だけでなく、消費者目線のリアルな声をリアルタイムで取得、回答することが可能です。例えば、YouTubeやInstagramなどでコメントを通して消費者の声を取得することは可能ですが、その場で回答することは基本的には対応できません。

しかし、Clubhouseであればその場で回答することができるため、参加しているユーザーに対しても顧客満足度を上げられるきっかけとなります。また、生の音声であることから、声のトーンや抑揚でブランドの思いを相手に伝えることが可能です。

このリアルタイムでブランドと消費者が意見交換できる、そしてそれがコメントではなく音声であることから、親和性が高く、ファンをぐっと引き寄せるきっかけとなっています。

ClubhouseとD2Cの親和性

Clubhouseは、「消費者が気軽に参加できる」という観点からD2Cに大きく向いていると言えます。理由の一つとして、Clubhouseに大きな強みとして、気軽にユーザーがRoomに入れることと、すぐに招待できることが挙げられます。

Roomに参加しているユーザーがシェアしたいと感じたら、すぐにフォロワーをRoomに招待することも可能ですし、友人に共有することも可能です。この気軽に参加できる、招待できるZoomなどでは実装されていない機能です。

SNS特有の拡散に近いこともあり、普段ではアプローチできないユーザーにもリーチできるきっかけにもなります。Clubhouseを自分のビジネスの商品やサービス導入のきっかけとして、今後活用されていく可能性が高いと言えます。

Clubhouseを通した販売までの流れとしては、ユーザーに対してRoomを通して商品・サービスを認知して頂き、興味を持って頂きます。興味を持ったユーザーをLPや他SNSに流入させることで、商品・サービスの好意度形成につなげ、最終的に購入や入会に持っていく流れが少しずつ形成されていくのではないかと予想されています。

まだコロナ禍が続くと予想される世の中で、オンラインで完結するClubhouseを軸にしたSNSマーケティングまだまだ進化していくと言えます。

Clubhouse(クラブハウス)での販売のコツ

Clubhouse(クラブハウス)でD2C軸にプロモーションしていく上で、まずはフォロワーが重要です。どのようにフォロワーを増やしていけば良いのかに加えて、効率的なRoomの作り方について解説していきましょう。

フォロワーの増やし方

基礎として電話帳に登録されている電話番号のユーザーに加え、同じRoomに入っているユーザーをフォローすることが可能です。

ただ、これでは自分の元々の知り合いや友人のみになってしまいます。そのため、外部からフォロワーを増やすことが必要となります。大きくフォロワーを増やす方法は2つあります。

ポイント
  • 1. 他で運用しているSNSアカウントでClubhouseのアカウントを告知する:まずは他のSNSで抱えていたフォロワーの一部を流入させることが可能です。
  • 2. フォロワーの多いフォロワーを自分のRoom招待する:タイムラインにはフォロワーの参加しているRoomが表示されます。フォロワーのフォロワーへのアプローチを目的にまずは著名またはフォロワー数の多いフォロワーを招待することで、他ユーザーの参加が見込めます。

他にも、相互にフォロワーを増やす目的に作られるRoomに参加して、属性関係なくフォロワーを増やすことも可能です。ただ、ブランド側がこういった相互フォローを積極的に進めることはブランディングに影響があるため、ブランドの方針に沿って対応することをおすすめします。

フォロワーのフォロワーへのアプローチ

自分のフォロワーには、自分の開いているRoomがタイムラインに表示されます。前述したように、フォロワーをRoomに入れることでフォロワーのフォロワーにアプローチが可能なので、積極的にRoomにフォロワーを招待し、自分のRoomが表示されるユーザー数を増やすことが非常に重要です。

その際に、招待するフォロワーもブランドに関連する、興味を持っているユーザーであればより適切と言えます。

効果的なRoomの作り方

Roomで視覚的に付与できる情報は、Room名のみです。Room名は、「このRoomで何を伝えたいのか」「何を聴けるのか」が明確にわかる内容が良いとされています。

長すぎる件名だと伝わりにくいため、シンプルで簡潔なものがおすすめです。ビッグワードのみだと競合も多いため、ミドルワード・スモールワードを組み合わせることも必要になります。

また、Roomを開く上で、事前告知は他SNSを中心に展開していくことをおすすめします。事前告知の投稿を拡散することで、事前に興味を持ってもらえるため、フォロワーに協力してもらいながら告知を進めることがキーになってきます。

Roomには、可能であればインフルエンサーを招待することをおすすめします。インフルエンサーをフックに商品・サービスを認知してもらうきっかけにもなるため、対応可能な範囲内でインフルエンサーや著名人をRoomに招待してみてください。

また、Roomは継続的に開催し、単発で終わらせないことが重要です。Instagramで継続的に投稿することが重要であるように、Clubhouseも継続的に開催していくことがフォロワー拡大やファン化につながります。

実施の時間帯

SNSは19時~23時がゴールデンタイムとされており、ClubhouseでRoomを開くのであれば一般的に20時~がおすすめです。実際に、ブランドでは20時頃から配信しているケースが多く見られます。

参加人数を集めたいのであれば、他SNSでの事前告知に加え、20時以降で開催するようにしましょう。リアルタイムかつ交流の場ということもあるので、少人数で交流できるように遅い時間帯で実施するのも良いかもしれません。

参加人数が少なくても少人数だからこそ、深く交流ができて購入率が高くなる可能性もあります。これに応じて、早朝にRoomを開くブランドも現れています。

まとめ

Clubhouse(クラブハウス)は、リアルタイムで消費者を生の音声で交流ができる点からD2Cに大きく向いていると言えます。特に、他のSNSやツールにはない「気軽さ」はこのD2Cモデルに非常に相性が良く、認知からファンになるまでのステップを急速化すると思われます。

すでに成功している「食べチョク」や「amakouji」のように継続的にRoomを開催し消費者と交流することが売り上げ増加につながると言えるため、まずはフォロワー拡大の施策から始めていくことが重要と言えます。

当社GROVEでは、Clubhouseを活用したマーケティングのご相談を受け付けています。Clubhouseの利用に少しでも興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。