BtoB企業がインスタを利用するメリット

SNS利用者数が増加の一途をたどる中、SNSマーケティングを導入する企業が増えています。中でも、Instagram(インスタグラム)は多くの企業が力を入れているSNSです。

とはいえ、インターネット上には「BtoC企業の成功事例」や「BtoC企業向けの情報」が多いため、BtoB企業のインスタグラム活用方法に関してはピンとこないという人が大多数でしょう。しかし、実際には、BtoB企業でもInstagramを活用して成果をあげることは可能です。

そこで今回は、BtoB企業がInstagramマーケティングを導入するメリットと、実際のBtoB企業の成功事例を紹介します。

BtoB企業がInstagramマーケティングを導入するメリットとは?

BtoB企業がInstagramマーケティングを導入するメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?大きく分けて、次の3点があると言えるでしょう。

メリット
  • ・知ってもらえるきっかけを作れる
  • ・ブランディングができる
  • ・海外の企業にアピールできる

知ってもらうきっかけを作れる

消費者とつながりを持つことが難しいBtoB企業ですが、Instagramを活用すれば、自社の認知度を向上することができます。

BtoB向けとはいえ、結局のところ、企業で働く「人」に自社製品・サービスを知ってもらうことが重要です。そのため、Instagramを通してより多くのユーザーに知ってもらうきっかけを作れるというのは、BtoB企業にとってかなりのメリットと言えるでしょう。

ブランディングができる

Instagramは、写真やロゴデザインなどといった資格情報に訴える投稿がメインのプラットフォームであるため、業種にかかわらず「ブランディングがしやすい」というメリットがあります。また、自社の商品やサービスの他にも、従業員の姿や働き方、オフィス風景、社内イベントの様子など、さまざまな投稿を通して自社を知ってもらう機会を作ることができるため、企業の強みや特徴を的確にアピールすることができます。

海外の企業にアピールできる

国内のBtoB企業が、何のコネクションもなしに、いきなり海外の企業と接点をつくることは難しいでしょう。しかし、世界中のユーザーが使用しているInstagramを上手に活用すれば、海外の企業や企業の中の「人」にリーチすることが可能です。

ただし、海外の企業にリーチするためには、「日本語だけでなく、英語などの外国語を使って投稿する」、「英語のハッシュタグをつける」などといった工夫が必要です。

BtoB企業のInstagram活用事例:国内編

ここまで、BtoB企業がInstagramマーケティングを導入するメリットについてお伝えしてきました。メリットを把握できたことにより、「BtoB企業だけど、Instagramを活用してみようかな……」と思っていただけたのではないでしょうか?

そこで次に、Instagramの活用が上手な国内BtoB企業の事例を紹介していきます。実際にどのようにを活用していけば良いのか、実際のBtoB企業のInstagram活用事例から学んでいきましょう。

国内のBtoB企業のInstagram活用事例
  • 1. スリーエム ジャパン株式会社
  • 2. Sky株式会社
  • 3. TEPCO
  • 4. JT

    スリーエム ジャパン株式会社

    3M Japan

    スリーエム ジャパン株式会社は、サイエンスの力とイノベーションで人々の暮らしをより良いものにするための研究開発活動を行っている会社です。そんなスリーエム ジャパン株式会社のInstaramアカウントでは、これまでに携わった施工事例が画像で紹介されています。

    投稿内容はBtoB向けなのにもかかわらず、2021年1月末現在、2,200人以上のフォロワーの獲得に成功しています。モダンなオフィスの内装・外装の施工事例など、一般消費者から見ても「すごい!」「きれい!」と興味が持てる投稿が多いことがフォロワー獲得につながったと考えられます。

    また、投稿のキャプション内には、「こちらの物件で使用された製品のサンプルを無料配布中」とあり、自社ホームページに誘導できている点も参考にしたいポイントです。ユーザーに興味を持ってもらえる投稿をして、手軽にホームページやECサイトにアクセスできるようにしておくというのは、業種を問わず効果的なInstagram運用施策と言えます。

    Sky株式会社

    Sky株式会社

    続いて紹介するのは、教育分野やカーエレクトロニクスなど、幅広い分野でシステム開発を行うSky株式会社のInstagram活用事例です。Sky株式会社の公式アカウントは、2021年1月末現在、9,644人ものフォロワーを獲得しており、Instagram活用が上手なBtoB企業の一つです。

    Sky株式会社は、「IT業界に勤めている方」をターゲットに、セミナーやイベント情報を配信しています。Sky株式会社のInstagramアカウントはターゲットが明確で、ターゲットのニーズを的確に把握しているという点で優れています。

    実際に、テクノロジーフェアの開催に関する投稿では、「IT業界にお勤めの方にぜひお声がけください!」といったコメントも入っており、投稿を見かけたユーザーがついターゲットへ拡散したくなるといった仕組みになっています。このように、Sky株式会社は、「ビジネス向け」「BtoB」という特徴を生かして、上手にターゲットを絞り込み、「IT業界に務めている“人”」に向けて発信している点がぜひ参考にしたいポイントでしょう。

    東日印刷株式会社

    東日印刷株式会社

    日本最大級の新聞印刷会社「東日印刷株式会社」は、ブランディングの一環としてInstagramを活用しています。東日印刷株式会社は、Instagramの利用を開始することとなったきっかけとして、「業界の外での認知度はゼロに近く、もっと私たちのことを知ってもらいたいと思った」と語っています。

    また、東日印刷のSNS運用担当者は、Instagramを4ヶ月間運用した感想として「投稿する写真のジャンルは、初めから絞り込みすぎない方が良い」とアドバイスをしています。というのも、会社内の様子を投稿してところネタが尽きてしまい、「会社での出来事」や「取り組み」など、より幅広いジャンルの投稿をすることに路線変更したのだとか。

    そんな東日印刷のInstagramの投稿を見てみると、社内イベントの様子や地域とのつながりなどといったさまざまな投稿がされています。SNSを見た消費者がどのような雰囲気の会社なのか、そしてどんな事業に取り組んでいるのかといったことが、消費者に視覚的に伝わりやすいという特徴があります。

    東日印刷は、BtoB企業によるInstagram活用の事例が少ない中、先陣を切ってInstagramマーケティングに取り組んだ企業の一つです。そのため、InstagramにチャレンジしてみたいBtoB企業が参考にできるポイントが詰まっています。

    TEPCO

    TEPCO

    東京電力グループ(TEPCO)の公式Instagramアカウントでは、魅力的なオリジナル写真とともに東京電力の設備や技術を一般消費者に向けて発信しています。2021年1月末現在、1.3万人のフォロワーを獲得しており、BtoB企業が参考にしたい事例と言えます。

    TEPCOの投稿の特徴は、プロのカメラマンが撮影したような視覚的に美しい写真に添えて、自社の設備や技術をわかりやすく解説しているところです。

    たとえば、2021年1月には、「地上機器と東京夜景」という投稿がされています。検索欄に表示されたら、つい「いいね!」をしたくなる綺麗な夜景の写真なのですが、よく見ると東京電力の「地上機器」という設備が写っています。キャプションには、「地上機器とは……。」という説明文も入っており、一般消費者によって知られていない設備の認知を高めることに成功しました。

    また、TEPCOはハッシュタグの活用も積極的に行っています。上記の投稿を見てみると、「#夜景」「#ファインダー越の風景」などの日本語のハッシュタグと、「#nightview」「#night_photography」などの英語のハッシュタグを合わせて30個ほど使用しています。

    日本語と英語のハッシュタグを有効活用することにより、より多くのユーザーに投稿を届けているという点も参考にしたいポイントでしょう。

    JT(日本たばこ産業株式会社)

    JT

    JT(日本たばこ産業株式会社)といえば、以前はBtoCが主流でしたが、現在ではコンビニなどをはじめとしたBtoB事業を中心としています。JTのInstagramアカウントは、2021年1月末現在、フォロワーが1.2万人と多く、運用方法を参考にしたいBtoB企業アカウントの一つです。

    JTのアカウントでは、主に「ひとのときを、想う。」をテーマとした、見た人がホッコリする心温かい写真が投稿されています。これらの写真は、JTが「ほっとするひととき」というテーマで開催した「Instagram フォトコンテスト」に入賞した作品です。

    自社商品やサービスを直接的に紹介することなく、ホッコリする写真でこれほど多くのフォロワーを獲得できているのは、Instagramの特徴を最大限に生かした運用ができている証拠でしょう。

    JTのInstagramは、自社製品やサービスに関する投稿をすることが難しいというBtoB企業が参考にしたい事例と言えます。また、「#ひとのときを想う」というオリジナルハッシュタグを上手に活用しているという点も参考にしたいポイントです。

    BtoB企業のInstagram活用事例:海外編

    次に、外資BtoB企業のInstagramの活用事例と、そこから学べるポイントを詳しくお伝えしていきます。参考にできる部分がたくさんありますので、ぜひ目を通してみてくださいね。

    海外のBtoB企業のInstagram活用事例
    • 1. hootsuite
    • 2. WeWork
    • 3. intel
    • 4. セールスフォース
    • 5. American Express
    • 6. oracle
    • 7. IBM
    • 8. Mailchimp

    hootsuite

    hootsuite

    Hootsuiteは、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアの管理ができる便利ツールを提供している企業です。SNSの運用ツールを提供している会社というだけあって、自社のInstagramアカウントの活用がとても上手な事例です。

    2020年1月末現在で、12.8万人ものフォロワーを獲得しています。そんなHootsuiteのアカウントでは、主に次のようなコンテンツが投稿されています。

    • “Mental Health Tips to Give you a Boost”:SNSマーケターに向けて、メンタルヘルスを向上するためのコツをスライド風にまとめて投稿
    • “3 Surprising Stats from our Social Trends Report”:SNSマーケターに向けて、アンケートから分かったソーシャルメディアのトレンドをシェア

    このように、Hootsuiteのアカウントでは、SNSマーケターが知りたい情報が投稿されています。自社サービスを紹介する投稿も見かけられますが、ビジネス感は少なく、SNSマーケティングに従事している人に「フォローしておきたい!」と思わせる投稿がとても上手な事例です。

    この事例からは、ターゲットを明確にすることの重要さがわかっていただけたのではないでしょうか?BtoB企業がInstagramを運用するにあたっては、企業の中のどんな「人」に向けて発信しているのか、ターゲットを明確にして発信することで、フォロワーを獲得し、認知度を高めることができます。

    WeWork

    wework

    続いて紹介するのは、世界各都市で「シェアオフィス」「コワーキングスペース」を展開するWeWorkの事例です。世界中で62.2万人以上ものフォロワー獲得に成功しています。

    WeWorkの公式アカウントでは、世界各地に点在するシェアオフィスの風景を投稿しており、「これがオフィスなの?」「こんなオフィスで働いてみたい!」とユーザーの興味をひく画像が並んでいます。

    WeWorkは企業向けにサービスを提供するBtoBですが、Instagramを見た「人」から勤め先の「企業」に伝わることを想定して運用されていると考えられます。実際に、多くのフォロワーを獲得していることからも、ブランディング・認知拡大に成功した事例だとわかります。

    intel

    intel

    次に紹介するのは、半導体素子メーカーのintelのグローバルアカウントです。BtoB企業でありながら、2021年1月末現在、162万人以上という多くのフォロワーを獲得しています。

    intelのアカウントの特徴は、一つひとつの投稿に多くのコメントがついているところです。その背景には、ユーザーがついコメントを残したくなるように投稿が工夫されています。

    たとえば、「これら2つの画像で違うところを6個見つけられる?」「この写真に写り込んだintelのアイテムを5つ探してみて!」など、ユーザーとコミュニケーションを取ろうとしている姿勢が見てとれます。

    自社製品の画像を多く投稿しているにもかかわらず、セールス色が薄く、見ているユーザーが楽しめるように工夫できている点は、ぜひとも参考にしたいポイントでしょう。

    セールスフォース

    セールスフォース

    クラウドベースのビジネス向けアプリケーションを提供するセールスフォースは、2021年1月末現在フォロワー数が12.8万人と多く、BtoBの特徴を生かしたアカウント運用が上手な事例の一つです。

    実際の投稿を見てみると、コーポレートカラーである「水色」を使った投稿が多く、フィードに統一感が出ています。また、キャラクターや可愛いイラストを用いた投稿が多く、親しみやすさがある点も参考にしたいポイントでしょう。

    American Express

    American Express

    続いて紹介するのは、クレジットカードで知られるAmerican ExpressのInstagram活用事例です。日常生活やビジネス風景の中に、自社の“American Express”カードが溶け込んでいる様子が投稿されています。

    中でも、Instagramストーリーズの活用が上手で、プロフィールページには、「Delta Sky Miles」「Amex Gold」など、カードの種類ごとに投稿が整理されています。ストーリーズには、自社の詳細ページに飛べるようにリンクが貼ってあり、興味を持ったユーザーの誘導にも成功しています。

    また、プロフィールに「Don’t do business without it.(ビジネスするならアメックスを。)」と記載し、ビジネスでの利用を促すなど、BtoBならではの運用ができているといえます。

    Oracle

    Oracle

    BtoB向けソフトウェアメーカー「Oracle」は、公式Instagramアカウントにて企業の活動や従業員の姿などを公開しています。特徴としては、クリスマスや桜、バレンタインデーなど、季節のイベントと関連付けた投稿が多い点があげられます。

    また、最近では、オリジナルのアニメーション動画をInstagram上のショートムービー共有機能でシェアしている点も特徴的です。こちらでも、「クリスマス」や「International Volunteer Day」など、世間で話題になっている旬の話題を取り入れた自社コンテンツを公開しています。

    IBM

    IBM

    続いて紹介するのは、民間法人や企業を対象にコンピュータ関連機器を提供するIBMの事例です。2021年1月末現在、フォロワー数は36.7万人以上と、多くのファンを獲得しています。

    投稿内容は、開発の裏側や従業員の声に関するものが多く、コンピュータ関連製品に興味のあるユーザーの興味をひく内容にまとまっています。また、ショートムービー共有機能『Instagram TV』を活用している点も参考にしたいポイントの一つです。

    Instagramでは、静止画のみならずショートムービーを投稿することができるので、動画制作が得意な企業や、他のBtoB企業アカウントと差別化を図りたいという方は、動画の投稿も合わせて行うと良いでしょう。

    Mailchimp

    Mailchimp

    最後に紹介するのは、ビジネス向けにメールマーケティングプラットフォームを提供しているMailchimpの事例です。特徴としては、色の使い方がとても上手な点と、投稿を通して事例が多く紹介されている点があげられます。

    実際に、Mailchimpのメールマーケティングプラットフォームを採用しているスモールビジネスをアニメーション動画とともに紹介しており、視覚的にユーザーの興味をひく内容に仕上がっています。自社の商品やサービスを「事例」を通して紹介していきたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

    BtoB企業がInstagramマーケティングで成果をあげるためのポイント

    最後に、BtoB企業がinstagramアカウントを運用して、成果をあげるためのポイントについて解説していきましょう。

    ポイント
    • ・投稿内容を工夫する
    • ・ターゲットを明確にする
    • ・自社の従業員のInstagram利用傾向を参考にする

    それぞれどういうことか、詳しくお伝えしていきます。

    投稿内容を工夫する

    BtoB企業がInstagramマーケティングで成果をあげるためには、投稿内容を工夫することが重要です。というのも、BtoC企業の場合、ただ商品やサービスを紹介するだけでは、消費者に興味を持ってもらいにくいからです。

    そこでおすすめなのが、次のようなコンテンツの配信です。

    おすすめの投稿内容
    • ・従業員の声、働き方
    • ・オフィス紹介
    • ・サービス提供・商品製造の裏側

      このようなコンテンツを積極的に投稿することで、「こんな働き方があるんだ!」とか「このサービスの裏側ってこうなっているんだ!」など、より効果的に消費者の興味をひくことができるようになります。

      また、InstagramはTwitterやFacebookなどのSNSと異なり、「画像>文字」のSNSです。そのため、「なんとなくおしゃれだから……」という理由がフォローにつながることがあります。投稿を作成する際は、「ユーザーが視覚的に楽しめるかどうか」を基準にすると良いでしょう。

      これらの点を踏まえて、フォロワーが欲しいと思っている情報や画像を届けられるように、Instagramを運用していきましょう。

      ターゲットを明確にする

      BtoB企業に限らず、SNSアカウントを運営しているすべての人に言えることですが、Instagramアカウントを運用する際は、ターゲットをできるだけ明確に選定することが重要です。ターゲットを明確にすることにより、ブレない発信ができるようになります。

      そして、ターゲットが決まったら、そのターゲット像(ペルソナ)に向けてひたすら発信していきましょう。

      たとえば、ターゲットを「海外の企業」とする場合、英語で投稿したり、海外で人気のハッシュタグをつけたりといった施策が必要ですよね。これと同じように、自社で選定したターゲットに届けるためにはどうするべきか、どうしたらターゲットに興味を持ってもらえるかといった点に注目して運用していくことが大切です。

      自社の従業員のInstagram利用傾向を参考にする

      BtoB企業の場合、Instagramを通して企業の中の「人」にアプローチする必要があるとお伝えしました。しかし、いきなり企業の中の「人」と言われても、想像がつきにくいですよね。

      そこでおすすめなのが、自社の従業員に「普段Instagramで、どのような投稿をチェックしているのか」「どのようなアカウントをフォローしているのか」などといったヒアリングをすることです。自社の中の「人」が、どのようにInstagramを利用しているのかを把握することにより、企業で働く人に向けての情報発信のイメージが湧きやすくなるでしょう。

      まとめ

      BtoB企業がInstagramを運用するにあたって、参考にしたい成功事例を紹介しました。一口に「BtoB企業」と言っても、それぞれ投稿内容や、運用スタイル・戦略が異なることがわかっていただけたと思います。

      この記事で紹介した事例のように、BtoB企業でもInstagramを通してブランディングを行い、ファン(フォロワー)を獲得することは可能です。これまで「SNSはBtoB企業には不向きだから……」と諦めていた方も、ぜひこれを機会にInstagramの運用にチャレンジしてみてはいかがですか。

      当社GROVEでは、SNSマーケティングやSNS運用に関するナレッジやノウハウを、企業様のニーズに合わせて提供しています。これからSNSマーケティングを行いたいという方や、SNSマーケティングがうまくいかなくて困っているという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。