SNSを運用していると、「エンゲージメント」「エンゲージメント率」という言葉をよく耳にしますよね。普段あまり使われることのない指標なので、「聞いたことはあるけど、なぜ重要なのかまではよくわからない」という人は多いものです。
しかし、「エンゲージメント」は、企業のSNS運用において重要な指標の一つなので、しっかりと把握しておきたいところです。そこで、この記事では、SNSにおける「エンゲージメント」の意味と重要性、そしてエンゲージメントを高める方法を詳しく解説します。
目次
SNSの「エンゲージメント」とは?
SNSマーケティングにおける「エンゲージメント(Engagement)」とは、企業アカウントと一般ユーザー(消費者)のつながりのことです。企業がSNSで発信するコンテンツに、「いいね!」やコメントなどのアクションを起こすユーザーが多い状態のことを、「エンゲージメントが高い」と言います。
企業のSNS利用が定着する以前では、プレスリリースやテレビ広告など、企業が消費者に対して一方的に情報を発信するという形が取られていたため、「エンゲージメント」は、それほど重要なマーケティング指標ではありませんでした。しかし、現在では、SNSを通して企業と一般ユーザーが手軽に接点を持つことが可能です。
企業は、ユーザーが何らかのアクションを起こしたくなる魅力的なコンテンツを発信することにより、消費者との距離を縮め、より多くの熱心でロイヤリティの高い顧客を獲得することができるというわけですね。
「エンゲージメント率」とは?
エンゲージメント率とは、SNSの投稿一つひとつに対して、どのくらいリアクションがあったかを示す指標のことです。エンゲージメントを具体的な数字で示す際には、このエンゲージメント率を使うと覚えておきましょう。
エンゲージメント率は、投稿ごとに「いいね!」「コメント」などといったアクションをもとに算出されるもので、フォロワー数のようにアカウントごとに出る指標ではありません。
例として、「いいね!」のみをもとにエンゲージメント率を算出するとした場合で考えてみましょう。フォロワー100人のうち、50人が「いいね!」をした投稿の場合、エンゲージメント率は50%(=50/100)、そして25人が「いいね!」をした投稿では、エンゲージメント率は25%(=25/100)となります。
つまり、前者の投稿の方が、エンゲージメント率が高かったということになります。エンゲージメント率は高ければ高いほど、熱心なファン層を獲得できていると言えます。
ちなみに、投稿のエンゲージメント率の算出方法はSNSごとに異なります。それぞれのSNSで、エンゲージメントとしてカウントされるアクションについては、後半で詳しく解説しています。
エンゲージメント率を重視すべき理由
ここまでで、SNSマーケティングにおいて重要な指標「エンゲージメント率」とは何かについて解説しました。では、なぜ企業がエンゲージメント率を重視して、SNSを運用していくべきなのでしょうか?そこで、続いてはその理由について解説してきましょう。
- ・エンゲージメントの高さは成果に直結するから
- ・ユーザーとの関係性を可視化できるから
- ・投稿の効果を正確に測定できるから
理由①:エンゲージメントの高さは成果に直結するから
SNS運用において、エンゲージメント率が大切な理由はシンプルで、エンゲージメント率が「成果」に直結するからです。ここでいう成果とは、企業がSNSマーケティングを行ううえで設定するKGI(最終目標)のことです。具体例を挙げるとすれば「フォロワー1万人」や「Instagram経由の売り上げ100万円」といった目標のことですね。
これらの成果をあげるためには、「多くのユーザーにリーチする」などといったKPI(中間目標)が必要ですが、その一つに「エンゲージメント率を高めること」があげられます。エンゲージメント率を高めるということは、自社の投稿・商品に興味を持つユーザーが増えるということですから、エンゲージメント率を高めることを心がけて普段からSNSを運用していれば、自然とKGI(最終目標)が達成しやすくなります。
エンゲージメント率が高い投稿は、検索欄の「おすすめ欄」に表示されたり、ハッシュタグ検索でTOP表示される可能性が高まります。その反対に、エンゲージメント率が著しく低い投稿は、言ってしまえば、たくさんの人に見られたけど、興味を示す人が少なかった投稿です。エンゲージメント率が低い投稿は、多くのユーザーに見てもらえないため、基本的にバズることがありません。
理由②:ユーザーとの関係性を可視化できるから
多くの企業は、「フォロワーを増やすこと」を目標にSNSを運用していることでしょう。もちろん、フォロワー数は多いに超したことはありませんし、フォロワーの獲得を目標に運用することは良いことです。
しかし、「フォロワーの獲得」ばかりに目を向けていると、フォロワーを自社を良く見せるための「数字」としてしか見れなくなってしまう可能性があるため注意が必要です。
そこで、投稿のエンゲージメント率を確認することで、投稿を見てくれているユーザーとの関係性を可視化することができます。フォロワーが1万人いるなら、画面越しで投稿をチェックしている人が1万人いるということを再確認することができます。
エンゲージメント率が低いのであれば、それはフォロワーとあまり深い関係性が築けていないということなので、エンゲージメント率を上げるための対策を取る必要があるでしょう。
理由③:投稿の効果を正確に測定できるから
SNS運用においては、投稿後の分析が欠かせません。これは、過去の投稿の良かった部分をさらに伸ばし、悪かった部分を改善することで、より良いSNS運用ができるようになるからです。
ただし、SNSの運用経験が浅いと、投稿に効果があったのか否かを判断することが難しいですよね。「フォロワーの増減」で判断するべきか、「いいね!」の数で判断するべきか迷うことでしょう。
そんなときは、投稿の「エンゲージメント率」を見れば、投稿の効果を簡単かつ正確に確認することができます。エンゲージメント率は成果に結びつきやすい重要な指標ですので、効果の測定方法で悩んだ際には、エンゲージメント率を確認しておけば間違いないでしょう。
【SNS別】エンゲージメント率の算出・確認方法
続いて、主要SNSにおけるエンゲージメント率の算出方法と、サービス内でエンゲージメント率を確認する方法を紹介します。投稿のエンゲージメントを算出するためには、「エンゲージメントとしてカウントされるアクション」と「分母」が必要ですが、SNSによって使用する数字が異なるので確認しておきましょう。
Instagramのエンゲージメント率
Instagramでは、公式のインサイト機能には「エンゲージメント率」が表示されないため、他の指標を使って自身で計算する必要があります。ですから、どのアクションをエンゲージメントとしてカウントするかは自由です。
「いいね!」「コメント」「投稿の保存」「シェア」など、エンゲージメントしてカウントしたいアクションを選んで、算出してみましょう。自社がInstagramを運用しているうえで重視しているアクションを選ぶとエンゲージメント率の忠実さがアップしますよ。
また、分母を「フォロワー数」とするか「インプレッション数」とするかで、インプレッション数の値は大きく変化します。どちらを分母として使うかは自由ですが、継続してエンゲージメント数をカウントしていく場合は、必ず分母として使用する指標を統一するようにしてください。
ここでは、Instagramにおけるエンゲージメント率の計算式の例を2つ紹介します。
- 【計算式1】エンゲージメント率 = (いいね、コメント、投稿の保存数) ÷ インプレッション数
まず、一つ目の算出例は、Instagramでエンゲージメント率を出すときに最もよく使われている計算方法です。分母を「フォロワー数」でなく「インプレッション数」にすることにより、実際に投稿を見た人のうち、どのくらいのユーザーがアクションを起こしたのかを把握することができます。
また、TwitterとInstagramを平行して運用しているという場合は、エンゲージメント率の算出に使う指標をできる限り近づけてあげることで、比較がしやすいくなるというメリットもあります。
- 【計算式2】エンゲージメント率 = (いいね、コメント、投稿の保存数、シェア数) ÷ フォロワー数
Instagramを運用するうえで、どのくらいのユーザーが投稿をシェアしたかというのは重要な指標と言えます。「投稿をシェアする」というアクションもエンゲージメントとしてカウントしたいという人は、こちらの計算式を使うと良いでしょう。
また、こちらの計算式では、分母をインプレッション数の代わりにフォロワー数にしてあります。
Instagramでエンゲージメント率を確認する方法
先ほども述べたように、Instagramのインサイト機能では「エンゲージメント率」は算出されません。ですので、Instagramで投稿のエンゲージメント率を確認したい場合は、インサイト機能で「インプレッション」「いいね!」「コメント」などの指標を確認し、計算式にあてはめて計算する必要があります。
インサイトの確認方法は次の通りです。「投稿インサイト」に表示される指標の中から、必要な数字をメモして、エンゲージメント率を算出してみてください。
- 1. Instagram公式アプリを開く
- 2. 投稿写真の下に表示される「インサイトを見る」をタップ
Twitterのエンゲージメント率
Twitterでは、エンゲージメントは「利用者がツイートに反応した合計回数」と定義されており、アナリティクスで確認できるエンゲージメント率は、次の5種類のアクションをもとに算出されています。
- ・いいね
- ・リツイート
- ・返信
- ・フォロー
- ・URLのクリック
- 【計算式】エンゲージメント率 = エンゲージメント総数 ÷ インプレッション数
Instagramとは異なり、Twitterでは投稿にURLを挿入することができるため、URLのクリック数もエンゲージメントのアクションとしてカウントされていることが特徴です。
また、分母は「インプレッション数」、いわゆるツイートが表示された総数です。投稿を見た人の数(ユニーク数)とは異なるので注意が必要です。つまり、Twitterでは同じユーザーが10回ツイートを見れば、分母であるインプレッション数に「10」が追加されるということになります。
Twitterでエンゲージメント率を確認する方法
続いて、Twitterで投稿のエンゲージメント率を確認する方法を紹介します。
Twitterでは投稿下に、日付とリツイート・いいね数と一緒に「ツイートアクティビティを表示」という項目があります。それをタップするだけで、投稿のエンゲージメント率をチェックすることが可能です。
- ・ツイートの詳細ページを開く
- ・「ツイートアクティビティを表示」をタップする
- ・「エンゲージメント総数」を確認する
Facebookのエンゲージメント率
Facebookにおける投稿のエンゲージメント率は、次の4種類のアクションをもとに算出されています。
- ・いいね
- ・コメント
- ・シェア
- ・URLのクリック
また、分母は「リーチ数」となっており、Twitterなどの他のSNSとは異なる算出方法なので注意が必要です。ちなみに、リーチ数とは、シンプルに投稿を見た人の数を意味しています。
- 【計算式】エンゲージメント率 = エンゲージメント総数 ÷ リーチ数
Facebookでエンゲージメント率を確認する方法
最後にFacebookで投稿のエンゲージメント率を確認する方法を確認しておきましょう。
とても簡単に、投稿のエンゲージメント率を確認することができます。
- ・ページ上部のメニューから「インサイト」を選択する
- ・左メニューから「投稿」を選択する
- ・投稿をタップし手、エンゲージメント率を確認する
エンゲージメント率を高める方法
ここまで、エンゲージメント率の意味と重要性、そして各SNSでの確認方法を見てきました。そこで、次に、「エンゲージメント率が大事なのはわかったけど、実際にどう高めていけば良いの?」と疑問に思っている方に向けて、エンゲージメント率を高めるための施策を4つ紹介します。
- ・ペルソナを明確に設定する
- ・ユーザーと積極的にコミュニケーションを取る
- ・投稿日時に気をつける
- ・過去投稿の分析を活かす
方法①:ペルソナを明確に設定する
第一に、エンゲージメント率を高めるためには、リーチしたいターゲット層を明確にし、「ペルソナ」をできるだけ細かく設定することが大切です。ターゲット層を明確にすることで、エンゲージメントの高いフォロワーを多く獲得できるようになります。
SNSで発信する際、「万人受けするように」と思うかもしれませんが、現実的には、すべての人に「いいね!」を押させる投稿をすることは不可能です。ターゲットを絞り、「狭く深く」を意識して発信することにより、結果的に結果的により多くの心に響く発信ができます。
そもそも、ペルソナとは企業が情報を届けたいターゲット層の架空人物のことです。「20台後半の女性、仕事面は充実しているが、プライベートが少しつまらないと感じている」など、年齢や性別だけでなく仕事やライフスタイルなど、できるだけ明確に設定してみましょう。
ペルソナの設定ができたら、「この人がいいね!をしたい投稿内容か?」「この人に保存しておきたい!と思ってもらえるだろうか?」など、ペルソナがアクションを取りたいと思えるような投稿かどうかを基準に情報を発信していくことをおすすめします。
また、ペルソナ設定がうまくできていると、エンゲージメントが高いフォロワーが自然と増えていくので、結果的にフォロワーを増やすことも可能です。「エンゲージメントを高めたい」「フォロワーを増やしたい」という方は、まずペルソナを明確に設定することから始めてみましょう。
方法②:ユーザーと積極的にコミュニケーションを取る
ユーザーと積極的にコミュニケーションを取ることで、エンゲージメント率を上げることができます。その理由はシンプルで、企業アカウントの「親しみやすさ」がアップし、ユーザーからアプローチしてもらいやすくなるからです。
「でもSNSでユーザーとコミュニケーションってどのように取ったら良いの?」という方は、ぜひ次の方法を試してみてください。
- ・投稿についたコメントに返信する
- ・ユーザーの投稿にいいね!またはコメントを残す
- ・ストーリーズの「質問スタンプ」を使って、ユーザーの質問に答える
- ・DMに返信する
これらは、SNSでユーザーとコミュニケーションを取る方法の一例です。ユーザーと積極的にコミュニケーションを取ることで、ユーザートの距離が縮まり、ユーザーも積極的に「いいね!」をしたり、コメントを残したりしてくれるようになります。
方法③:投稿日時に気をつける
エンゲージメント率を上げるためには、多くのフォロワー、ユーザーがアクティブな時間帯に投稿することが理想的です。当然ながら、より多くのフォロワーにリーチすることができれば、「いいね!」やコメントなどのアクションを獲得できる確率が高まります。
投稿するのにベストな時間帯は、フォロワーによってアクティブな時間が異なるため一概には言えませんが、株式会社エイプの調査によると、次の時間帯に多くのユーザーが主要SNS・Instagramを利用している傾向があることがわかっています。
- ・6時〜9時:出勤・通学時間
- ・12時〜13時:お昼休憩
- ・20時〜22時:夕食後のリラックスタイム
また、上記のデータはInstagramのアクティブユーザーの調査結果ですが、他の主要SNSにおいても、アクティブユーザーの多い時間帯はほとんど変わらないと思っていいでしょう。投稿をする際は、アクティブユーザーが多い時間帯に投稿することを心がけてみてください。
方法④:過去投稿の分析を活かす
TwitterやInstagramなど、主要SNSには投稿のエンゲージメント数を確認するための機能が備わっています。Instagramならインサイト機能、Twitterならアナリティクス機能がこれに該当します。
これらの投稿の分析機能を活用して、エンゲージメント率が高かった投稿と低かった投稿を比較して、それぞれの特徴を絞り出してみましょう。エンゲージメント率が高かった投稿には、「『皆さんはどう思いますか?』とフォロワーに問いかけていた」とか、「投稿に短尺動画を載せていた」など、エンゲージメント率の向上につながった特徴があるはずです。
エンゲージメント率が高かった過去の投稿を真似することで、確実に効率よくエンゲージメント率を高めることができますよ。
まとめ
SNS運用における「エンゲージメント」の基本知識と、実際にエンゲージメント率を向上するための施策を紹介しました。
エンゲージメント率は、SNS運用において企業が必ず把握しておきたい重要な指標の一つです。「フォロワー増加」「売上アップ」などのKGIを達成するためにも、まずはエンゲージメントを高めることを目標に企業アカウントを運用していきましょう。
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