多くの企業がSNSマーケティングを行う中、SNS上で大きな「影響力」を持つインフルエンサーを起用したインフルエンサーマーケティングが人気を高めています。しかし、実際にインフルエンサーを起用するメリットや起用方法などについて知っているという方は少ないかもしれません。
そこで本記事では、インフルエンサーの定義と種類について解説し、インフルエンサーを起用するメリットや注意点などについて紹介します。インフルエンサーマーケティングに興味のある方はぜひ参考にしてください。
目次
インフルエンサーとは
インフルエンサー(influencer)とは、Instagram(インスタグラム)やTwitterなどをはじめとするソーシャルメディア上で大きな影響力を持つ人物のことです。ここでいう「影響力」とは、人々の行動や感情に与える影響力が大きいということを意味します。一般的に影響力を表す指標として「フォロワー数」が用いられます。
SNSとインフルエンサー
インフルエンサーは、主として活躍するプラットッフォームによって次のような名称で呼ばれることもあります。
- ・Instagramのインフルエンサー:インスタグラマー
- ・TikTokのインフルエンサー:ティックトッカー
- ・YouTubeのインフルエンサー:ユーチューバー
例えば、「インスタグラマー」は、Instagramにて多くのフォロワーを獲得し、影響力のある発信を行っているユーザーのことを指します。また、近年活躍の場を広げている「ユーチューバー」も、インフルエンサーの一種です。
インフルエンサーの種類
ここまでで、インフルエンサーとは「ソーシャルメディア上で大きな影響力を持つ人物のこと」とお伝えしました。しかし、実際には一口に「インフルエンサー」と言っても、フォロワーの数を基準とした影響力によって、次の4種類に分かれます。
- ・トップインフルエンサー
- ・マクロインフルエンサー
- ・マイクロインフルエンサー
- ・ナノインフルエンサー
これら4種類のインフルエンサーは、フォロワー数によって分類されます。しかし、実際にはフォロワー数が何人以上のインフルエンサーを「マクロインフルエンサー」と呼ぶといった明確な定義はありません。そのため、以下で紹介するフォロワー数はあくまでも目安として参考にしてください。
トップインフルエンサー
トップインフルエンサーとは、50万人以上のフォロワー数を誇る人物のことです。SNS上ではもちろんのこと、テレビなどのマスメディア上にも露出する機会も多くあり、世間への知名度も高いです。主に、テレビで活躍する芸能人やタレントなどが「トップインフルエンサー」として活躍していることもあります。
マクロ(メガ)インフルエンサー
マクロインフルエンサーとは、数十万人のフォロワーを有しているインフルエンサーのことです。ファッション、美容、生活情報など、さまざまなジャンルにおける「カリスマ的存在」として活躍しているのがマクロインフルエンサーです。
マイクロインフルエンサー
マイクロインフルエンサーとは、フォロワー数が1万人〜10万人程度のインフルエンサーのことです。著名人だけでなく、多くの一般人がマイクロインフルエンサーとしてさまざまなジャンルで活躍しています。
トップインフルエンサーやマクロインフルエンサーと比べると、フォロワー数は比較的少ないですが、一般ユーザーにとってより身近な存在であるため、フォロワー一人ひとりに持つ影響力は多大です。また、マイクロインフルエンサーによる投稿は、「いいね!」「コメント」などといったアクションを多く獲得できる傾向があり、よりエンゲージメント率の高い投稿が可能です。
ナノインフルエンサー
ナノインフルエンサーとは、マイクロインフルエンサーよりもさらにフォロワー数が少ないインフルエンサーのことです。具体的には、フォロワーが1千人〜1万人程度のユーザーのことを指します。ちなみに、フォロワーが1千人を下回る場合は、「一般ユーザー」と認識されます。
トップインフルエンサーやマクロインフルエンサーと比べると、総合的な影響力こそ低くなりますが、フォロワーから「知り合い」「友人」として認識されていることも多く、投稿のエンゲージメント率がかなり高い傾向があります。フォロワーに向けて、「狭く深く」情報を届けることができます。
インフルエンサーマーケティングとは
インフルエンサーマーケティングとは、大きな影響力を持つインフルエンサーに自社商品・サービスをPRしてもらうマーケティング手法のことです。SNSの持つ「情報拡散性」や、主にSNSで活躍するインフルエンサーの「影響力」を生かすことで、認知拡大や売り上げ向上を狙えます。
株式会社サイバー・バズが2020年10月に発表した『インフルエンサーマーケティング市場規模推計・予測(2018年〜2015年)』 によると、2020年のインフルエンサーマーケティング市場は317億円に達していることがわかっています。
また、インフルエンサーマーケティングの市場規模は、2018年より増加の一途をたどっており、2021年には425億円、2022年には519億円、そして2025年には725億円規模にまで達すると予想されています。
インフルエンサーマーケティングが徐々に市場規模が拡大していること、そして2025年には2020年の約2.3倍の市場規模になることが予想されていることから、インフルエンサーマーケティングは多くの企業が取り入れるべきマーケティング手法の一つと言えます。
インフルエンサーを起用するメリット
続いて、ソーシャルメディアマーケティングにてインフルエンサーを起用するメリットを確認していきましょう。インフルエンサーを起用することで期待できるメリットは次の3つです。
- ・自社のターゲット層にリーチできる
- ・広告感が薄く受け入れてもらいやすい
- ・広告費用を抑えられる
それぞれどういうことか、詳しくお伝えしていきますね。
自社のターゲット層にリーチできる
インフルエンサーは、それぞれ「ファッション」「美容」「旅行」など特定のジャンルに特化しているため、ターゲティングがしやすいというメリットがあります。例えば、旅行に関するグッズやサービスのPRをする場合、旅行系のインフルエンサーを起用することで、旅行に対する興味関心が高いユーザーにリーチできます。
また、女性向け商品のPRであれば女性のフォロワーを多く獲得しているインフルエンサー、30代男性向けサービスのPRであれば、30代男性のフォロワーを多く有しているインフルエンサーを起用することで、よりPRの効果を高めることができます。
インフルエンサーマーケティングは、従来のマスメディアにおける広告と比べて、ターゲット層に向けてダイレクトに情報を届けられるという点において優れています。
広告感が薄く受け入れてもらいやすい
インフルエンサーを起用することの2つ目のメリットは、一般ユーザーに受け入れてもらいやすい投稿ができることです。
近年、SNS上で広告を見かけることが増えたため、消費者の中には広告を良く思っていない層も存在します。また、広告が表示されると無意識のうちにスワイプしてしまうというユーザーも多いでことが考えられます。
そこで、インフルエンサーを起用し、自社商品・サービスの宣伝をしてもらうことにより、通常投稿により馴染む形で、商品に関する情報を届けられるようになります。ユーザーに不快感を与えることなく、商品の魅力を充分にアピールできるのは企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。
広告費用を抑えられる
最後に紹介するメリットは、広告費用を抑えられることです。テレビや雑誌など従来の広告出稿費用と比べて、インフルエンサーマーケティングはかなり予算を抑えてプロモーションを行えます。
インフルエンサーを起用するのに掛かる費用の相場は、1フォロワーあたり1円〜1.5円程度です。ただし、トップインフルエンサーやマクロインフルエンサーなど、高い人気を誇るインフルエンサーに依頼をする場合は相場がもう少し高くなる傾向があります。
もちろん、依頼内容や条件などにもよりますが、基本的には1フォロワーあたり1円〜1.5円で依頼ができます。例えば、フォロワーが3万人のインフルエンサーにプロモーションを依頼する場合、一つの投稿につき月3万円〜5万円程度が相場と言えます。
ここまでで、インフルエンサーを起用すると広告費用が抑えられるというメリットをお伝えしました。そこで気になるのが、「費用に見合った効果が期待できるかどうか」ではないでしょうか?
実は、インフルエンサーマーケティングは、費用が抑えられることだけでなく、「費用対効果が高い」という特徴があります。上でお伝えしたとおり、インフルエンサーによる投稿は、ターゲット層にリーチしやすい上、ユーザーに受け入れてもらいやすいため、費用以上の効果が見込めます。
インフルエンサーの依頼・起用方法
続いて、実際にインフルエンサーの依頼・起用方法について紹介します。「インフルエンサーを起用してみたいけど、探し方や依頼の仕方がわからない」という方はぜひ参考にしてください。
SNSでインフルエンサーを探して直接依頼する
一つ目の方法は、InstagramやTwitterなどのSNS上で自社に合ったインフルエンサーを探して、直接依頼する方法です。SNS上でハッシュタグやキーワードを使って検索し、気になったインフルエンサーとDM(ダイレクトメッセージ)機能を利用してやり取りを行います。
インフルエンサーと直接やり取りができるため、要望をダイレクトに伝えやすいというメリットがあります。また、仲介業者を通さないため、仲介料などといった手数料を支払う必要もありません。
しかし、人気の高いインフルエンサーの場合、依頼のDMを送っても返事をもらえないことが懸念されます。また、インフルエンサーの選定やメッセージ上でのやり取り、そして実際にPR投稿を行うまで、かなりの工数が掛かってしまうというデメリットがあります。
インフルエンサーが所属するプロダクションで依頼
インフルエンサーを依頼する二つ目の方法は、インフルエンサーが所属しているプロダクション会社やキャスティング会社を通して依頼する方法です。起用したいインフルエンサーがプロダクションに所属している場合はもちろん、自社に合ったインフルエンサーの選定からお願いすることも可能です。
プロダクションで依頼するメリットとしては、インフルエンサーマーケティングの知識を提供してもらえることがあります。インフルエンサーマーケティングの経験が豊富なプロに任せることで、より高い効果が見込めるでしょう。
また、プロダクションに依頼をすることで、SNS上でゼロからインフルエンサーを選定したり、やり取りをしたりという工数を削減できます。ただし、仲介料が発生してしまうので、利用前に費用対効果についてよく検討する必要があります。
インフルエンサーを効果的に選定するコツ
次に、インフルエンサーマーケティングで成果をあげるためのインフルエンサーの選び方を紹介します。「何を基準にインフルエンサーを選べば良いの?」とお悩みの方は、ぜひ次の3つのポイントを意識してみてください。
- ・「フォロワー数」だけでなく他の重要指標も確認する
- ・自社のイメージに合ったインフルエンサーを選ぶ
- ・フォロワー数が比較的少ないインフルエンサーも積極的に選定する
それぞれどういうことか、具体的に解説していきます。
「フォロワー数」だけでなく他の重要指標も確認する
インフルエンサーを起用する際、「できるだけ影響力の大きいインフルエンサーを起用したい」と考えるのは当然のことでしょう。しかし、「フォロワー数」だけで判断することは危険です。なぜなら、フォロワー数が多くても、フォロワーの属性が自社のターゲット層とかけ離れていたら、高い効果は見込めないからです。
インフルエンサーを選定する際には、次の3つも合わせて確認しておくと失敗は少ないでしょう。
- ・投稿のエンゲージメント率(いいね、コメントなど)
- ・フォロワーの属性(年齢、男女比など)
- ・投稿の雰囲気
まず、過去の投稿で「いいね!」や「コメント!」などのアクションが取られているかは欠かさず確認しておきたいポイントの一つです。というのも、フォロワー数が多くても実際に投稿をチェックしてアクションを起こしてくれるユーザーの割合が低ければ、「購入」「申し込み」「自社サイトへ誘導」などといった成果は見込めません。
また、フォロワーの属性も必ずチェックしておきたいポイントです。インフルエンサーのフォロワー層が自社の商品やサービスのターゲット層とマッチしているかどうか確認しておきましょう。
自社のイメージに合ったインフルエンサーを選ぶ
一口にインフルエンサーといっても、投稿から伝わる「イメージ」や「雰囲気」は多種多様です。インフルエンサーを起用する際は、自社のイメージと合ったインフルエンサーを選ぶことが重要です。
自社のイメージとマッチしたインフルエンサーを起用することで、フォロワーに違和感なくPR投稿を受け入れてもらいやすくなります。しかし、イメージが合っておらず、PR投稿だけが悪目立ちしてしまうと、「広告感」や「やらせ感」が強く出てしまいます。
ですので、インフルエンサーを起用する際には、「自社の商品・サービスを使っていそうなイメージの人物か」「自社商品・サービスのコンセプトと合っているか」などといった基準で選定することをおすすめします。
フォロワー数が比較的少ないインフルエンサーも積極的に活用する
インフルエンサーを選定する際には、「マイクロインフルエンサー」や「ナノインフルエンサー」など、フォロワー数が比較的少ないインフルエンサーを積極的に活用することも重要です。
上でもお伝えしたとおり、マイクロインフルエンサーとナノインフルエンサーは、フォロワー数が比較的少ない分、フォロワーとの距離が近く、一人ひとりのユーザーに与える影響力が高い傾向があります。
フォロワー(一般消費者)の視点から見ると、50万人のフォロワー数を誇るインフルエンサーが紹介する商品よりも、1万人のフォロワーがいるインフルエンサーがおすすめする商品の方が、より身近に、そして信頼できるように感じるのではないでしょうか?
インフルエンサーを起用する際の注意点
最後に、インフルエンサーを起用するにあたって知っておきたい注意点を2つ紹介します。
- 1. ステマや炎上に注意する
- 2. 前もって投稿に関するルールを定めておく
これら2つの注意点について、詳しくお伝えしていきます。
ステマや炎上に注意する
インフルエンサーを起用する際に、注意したいのが「ステマ」と「炎上」のリスクです。
まず、ステマとはステルスマーケティングの略で、宣伝であることを隠してPR活動を行うことです。インフルエンサーに自社商品を宣伝してもらう際、「投稿がPRであること」を必ず明示してもらう必要があります。
PR表記をしないようにとお願いしたり、インフルエンサー本人がPR表記をしなかったりすると、ステマに該当し重大なリスクを伴います。
というのも、ステマが発覚すると、その事実はまたたく間に拡散され「炎上」へと発展してしまいます。
インフルエンサーマーケティングには、多大なメリットが存在すると同時に、やり方によっては炎上のリスクがあるということを忘れないようにしましょう。具体的には、インフルエンサーに依頼する際に「PR表記をすること」を条件として提示したり、投稿前にPR表記がされているかどうかを確認したりといった対策が効果的です。
前もって投稿に関するルールを定めておく
インフルエンサーにPRを依頼する際には、前もって投稿に関するルールを決めておきましょう。PR表記や投稿回数・タイミングに関するルールは、実際に仕事を引き受けてもらう前に提示しておくことで、後のトラブルを防げます。
ただし、投稿内容に関してはあまり細かなルールは定めず、インフルエンサー本人のクリエイティビティにまかせることをおすすめします。こうすることにより、PR投稿が悪目立ちすることもなく、インフルエンサーの個性やイメージが充分に発揮されたすてきな投稿にしあがりやすくなります。
まとめ
インフルエンサーの定義や起用するメリット、効果的な選定方法などについて紹介しました。
SNSを使ったマーケティング手法の人気が高まっている今、SNS上で大きな影響力を持つインフルエンサーは企業にとって非常に有力な存在です。フォロワー数だけでなく、インフルエンサーの持つフォロワー層や投稿の雰囲気なども視野に入れて、自社にぴったりなインフルエンサーを起用しましょう。
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