「ブランディング」という言葉、マーケティング担当者の方はよく耳にする言葉だと思います。そもそも「ブランディング」とは、ブランドを形作るための様々な活動を指す言葉です。
皆さんも「○○といったらこのサービス」と思うことがあるのではないでしょうか。このように、ユーザーに対して企業や商品のイメージを浸透させることで商品が売れる流れを作ることが目的です。
今回は、ブランディングの手段の1つであるブランディング広告について概要から必要性・事例まで網羅的にご紹介します。
目次
ブランディング広告とは
ブランディング広告とは、ブランディングを実現する為の広告手段で、直接的な購買を目的とせず、企業や商品・サービスへの認知度や理解度を向上させることを目的とした広告です。
ブランディング広告は商品・サービスを細かく説明するよりも、ブランドの世界観やイメージを与えて企業や商品・サービスの認知度や理解を獲得する広告です。主にテレビCMや交通広告、新聞などのマスメディアで出稿されることが多いです。
一方で、ブランディング広告とは反対の役割を持つ広告をレスポンス広告といいます。
レスポンス広告とは購入・資料請求・問い合わせなどのレスポンス(反応)をもらい即時的な利益を獲得することを目的とした広告です。その場でユーザーからレスポンスをもらえるように、広告内容には価格や性能など商品・サービスの詳細、購入先や問い合わせ先の情報が含まれています。
レスポンス広告はターゲットに効率的に広告を届けることが重要なため、ターゲット層に訴求しやすいダイレクトメールやWebのリスティング広告などで主に出稿されます。
目的 | 主な配信媒体 | |
ブランディング広告 | 認知度やブランド理解の獲得 | テレビCMや雑誌などのマスメディア |
レスポンス広告 | 即時的な利益獲得 | DMやWebのリスティング広告など |
なぜブランディングが必要なのか?
ブランディングが近年より一層重要となってきています。その背景の1つとして「モノ消費」から「コト消費」へ消費者の消費活動が変化したことが関係しています。
2000年代頃までは消費者がお金を使う際に商品のスペックや値段で選び所有することに価値を見出す「モノ消費」の時代でした。しかし、近年、国内の消費市場は成熟化し人々は「欲しいものは大体手に入る」状態となったことで商品の機能的な価値を訴求すれば商品が売れる時代ではなくなりました。
機能的な価値以外に消費者が意識するようになったのが商品やサービスを購入することで得られる「体験」です。商品を買うことで得られる体験や感情に重点を置いた「コト消費」に消費者の消費活動が移り変わりました。
こうした消費活動の中で「他社より価格を低くする」「レスポンス広告に費用を投下する」といったことだけではなく、商品・サービスのストーリーを伝え、選んでもらえる状態をつくる事が重要となりました。
ブランディングは商品・サービスならではの価値・イメージを消費者に想起させて消費者に「選ぶ理由」を与えることで他社との差別化を図り、結果、焼き畑農業的な広告運用や価格競争からも脱却することが出来ます。
ブランディング広告の特性を理解する
ブランディング広告の効果をきちんと理解するためには特性と見方を理解することが大切です。
ブランディング広告はレスポンス広告と違い、顕在層だけではなく、今は顕在化していないターゲットにも訴求を幅広く行い、認知させることで効果を発揮します。
そのため、レスポンス広告とは違い獲得効率(CPA)は悪くなる傾向にあります。
また、単純に売上と指標を置かず、ブランドを確立したことを数値化する必要があるため効果測定が難しいです。
ブランディング広告の効果の見方は大きく2つあります。
1つ目は、ブランディング広告と同時にレスポンス広告を配信しレスポンス広告の効果が伸びるか見る方法です。例えば、テレビCMでブランディング広告を出稿している期間中、ネット広告や折り込みチラシ、新聞広告などのレスポンス広告へのレスポンスが伸びていればブランディング広告の効果があったと言えるでしょう。ポイントはブランディング広告出稿時にレスポンス広告を一気に投下することです。
2つ目は、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)です。※LTVは「客単価×収益率×購買頻度×取引期間-顧客の獲得・維持コスト」で算出できます。
ブランディングがうまくいっていれば多少競合より価格が高くても消費者は選んでくれます。また、ブランドのファンになってもらうことで消費者は他のブランドと比べずに継続して自社の商品を選んでくれるだけでなく、継続してブランドを選んでくれる可能性も高まるでしょう。
このようにLTVを算出することによってブランディングがうまくいっているか確認することが出来ます。
ブランディング広告と配信媒体
ブランドの世界観やイメージを消費者に認知・理解してもらう為にはどの媒体でブランディング広告を配信するのが有効なのでしょうか。
一般的に単純にテキストよりも商品やサービスやストーリーなどをビジュアル化したイメージのほうがを伝わりやすい傾向にあります。また静止画よりも動画のほうがより詳細に伝えることが可能です。そのため、ビジュアルや音声が効果的に伝えられる動画配信媒体のテレビやYouTubeが広告媒体としては向いています。
特にテレビでは多くの人に配信できるため、多くの人に届けることも出来ます。配信量だけでなく、テレビで流れているというだけで消費者にサービスや商品の安心感を与えることが出来ます。
一方で、テレビは他の配信媒体と比べても広告を出稿するのに多くの費用が掛かります。テレビ広告のようにビジュアルで伝えられ、かつ予算に合わせて配信できるという手軽さの観点からはYouTubeが広告媒体としてブランディング広告との相性が良いです。広告運用によりチャンネル登録者数や視聴時間など数値が見え、分析できるのもいい面です。
YouTubeはアカウントを作成すればすぐにブランディング広告を実施出来るという手軽さも魅力の1つです。
SNSマーケティングについて
これまでブランディングの発信媒体として代表的だったテレビもSNSが普及したことで視聴率は2000年以降、10代~20代の若年層を中心に減少し続けています。(*1)
対象的にSNSではブランディングをできる場が広がっています。SNSでは従来のテレビCM等と違い広告出稿主の企業がコントロールしてブランドを作るのではなく、SNSの普及で発言力を持ったユーザーによって作り上げられていくようになりました。企業側がきれいな言葉や発信内容で取り繕っても、実態とそぐわない場合ブランディングはユーザーによってマイナスなものへと転換してしまいます。
一方で、ユーザーの発信力を利用してブランディングを成功に導く事も可能です。SNSを活用してブランディング広告運用を成功させるために、拡散しやすいコンテンツ作りに重きを置きがちですが、ブランディング広告の目的はユーザーに商品・サービスのファンになってもらうことです。そのためには一時的な拡散というよりも、ユーザーに寄り添い、ブランドのらしさを伝える内容の発信を地道に行うことでブランディングに結びついていきます。
例えば、インフルエンサーを用いたブランディング広告であれば、自社の商品・サービスのターゲットに近いインフルエンサーに協力してもらい、一緒にブランドを伝えていくことで、単純な広告では伝わらないイメージ訴求やブランドへの信頼に繋がります。
まとめ
ブランディングはデジタル化が進んだ現代において他社と差別化をし消費者から「選んでもらえる」商品・サービスにするために重要なマーケティング手法です。
ブランディング広告の効果を無駄にしないために広告の特性や見方もきちんと理解しておきましょう。
当社ではインフルエンサーを活用したブランディングも事例がありますので、ぜひお気軽にご相談ください。